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「アウシュビッツ」という言葉を…

 「アウシュビッツ」という言葉を知った時のことを中谷剛さん(48)=兵庫県出身=ははっきり覚えている。小6だった。学校で講演会があり、「“よそ者”というだけで多くの人が殺された所です」という講師の言葉が深く心に刻まれた。自分も転校し、見知らぬ土地に住んだ経験があったからだ▼ナチス・ドイツのアウシュビッツ強制収容所跡地(ポーランド)にある博物館で、中谷さんは17年前から日本人唯一の公認ガイドを務めている。先週、現地を訪れ、中谷さんに案内してもらった▼第2次大戦中、同収容所ではユダヤ人や少数民族ら100万人以上が殺された。今も残るガス室の中に立つと、これほど残虐なことができる人間がいるのかと思う▼ところが中谷さんは言う。「特殊な人間が起こした出来事ではありません」。収容所の所長は部下に「ドイツ国民の見本であれ」と説くまじめな人物で、国策に基づく命令に部下は粛々と従った▼そもそもナチスを率いたヒトラーは選挙で選ばれた。多くの国民は「ヒトラーに任せよう」と傍観し、暴走を許した▼“よそ者”つまりは異質なものを排除する空気が社会にあり、民主主義が形骸化すれば悲劇は起こり得る。「過ちを繰り返さないために何を考え、行動すべきか。一人一人が考えてほしい」と中谷さん。大きな宿題をもらった。 

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