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下津井港・六口島を巡る(下) 留学生が見た島の魅力

活気のある海産物の実演販売に、留学生は大盛り上がり

下津井の絶品料理。留学生の魚嫌いも治ってしまうほど

初めての漁体験に留学生は大喜び

 留学生は、時間の楽しみ方を良く知っている。散歩に出かけたり、食べられるものを見つけてきたり、日光を浴びだしたり、急に手伝いを申し出たり、もちろん、全く動かない学生もいるのだが、なにやらずっと話している。側にいると、こちらも楽しく過ごせるのだが、引率の先生になる場合は、スケジュールの管理や迷子を捜したり、学生をしかったりすることも。むしろ地域からしかられることの方が多い。

 倉敷市下津井ツアーで、学生たちは10月中旬の瀬戸内海に臆することなく飛び込んだ。その日の最高気温は25度。筆者も同じく泳いでみたが、驚くほどに暖かく感じられた。日本人と外国人の肌感覚はそもそも違うのだろう。フランス・ボルドーで生活していたころ、夏の海でもこんなに冷たいのかとすぐに上がった記憶があるのだが、学生たちはいたって自由である。

 1泊2日の下津井・六口島の滞在で驚いたのは、魚が全く食べられなかった学生が、下津井のタコを絶賛して食べ始めたことだ。また、興味津々、跳ね上がる魚に触れてみる。釣竿でも、スコップでもあれば、彼らは遊びの作法を知っている。

 下津井・六口島を離れる前、留学生の目から見た漁村の地域振興策についてワークショップを行った。アトラクションとして漁村を楽しむだけではなく、その中の、伝統的な風景が持つ価値観に心が奪われたようである。

 「プライベートビーチのようだ。まずは、景色が、海と港がよい。神様の話が面白い。何の神様を信じているのかなど、勉強になった」

 「生きているタコ、干しているタコを見て驚いた。タコに触れた後に、食事で感謝をした。生きているのを頂くことに感謝する気持ちになった。魚は好きじゃなかったけど、ここだから食べることができた。触ることもできてよかった。信頼があったからできた」

 「ガイドさんと同じ思いを持って六口島にくると、一緒にいると、なにかお手伝いしたい気持ちになった。ごみ拾いをしたい。お返しをしたいという気持ちが生まれている」

 「いっぱいのお客さんよりも、同じ気持ちのあるお客さんがいいと思います。来れてとても良かった。観光の前に1、2分の小さな映画があったら。思い出をつくることに気をつけたい。お客さんも一緒に地域のことを考えてくれることになる」

 「日の出、日の入りなど自然のサイクルが感じられるけれど、自然のままの状況は貴重である。なんてきれいなんだという反響があった」

 留学生は、矢継ぎ早の提案も行った。(1)歴史的な変遷を説明する解説や写真の提示がまちなかで十分ではないこと、(2)通訳や仲介役がいないと、わかりにくいこと、(3)地域でできる活動を整理すること、(4)彫刻などのクラフトを体験できること、(5)トイレは男女別々で場所を離してもらいたいこと、(6)ボランティアで宿泊を安くし、長期の滞在を可能にすることなどである。

 鋭いご指摘、岡山の観光まちづくりの全般にあてはまるのではないだろうか。その中で、下津井・六口島に限定せず、日本全国のまちづくりにあてはまる指摘もあり、息を呑んだ。留学生が言う同じ気持ちを持つ人の意味である。

 「小さな家があったら、1カ月泊まって、伝統的な日本が知りたい。ターゲットを絞り、だれでもできちゃうよりも、同じ考えを持って好きになる。特別なお客さん、歴史や景色にお金を払うような感じが良い。エコロジーが好きな人は、水を大切にして、掃除をする人です。大切なものは海からやってくるから、水の使い方やエコの姿を学んだ方が良い」

 留学生は、地域の資源を大切に使っていこうとする姿そのものに、日本の持続的な地域社会の姿を感じていたのである。現地のまちづくり有志は、地域の言葉で、心の通じ合いから思い出を造ってもらいたいと述べていたが、留学生はその気持ちを感じながら、日本が大切にすべきまちづくりの精神を見事に読み取っていたのである。

 ◇

岩淵 泰(いわぶち・やすし) 岡山大地域総合研究センター(AGORA)助教。都市と大学によるまちづくり活動に取り組む。熊本大学修了(博士:公共政策)。フランス・ボルドー政治学院留学。カリフォルニア大学バークレー校都市地域開発研究所客員研究員を経て現職。1980年生まれ。

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