文字

フィルムを思い出すシグマカメラ 味のある米国製センサー

これがシグマのクワトロ。センサーへの体温忌避を考えた独特のスタイル。上部はライカの外付けファインダー=瀬戸内市牛窓町

感度が上げられないので、曇天はシャッタースピードが遅くなる。超高画素なので手ブレが目立ちやすいので、注意が必要だ=瀬戸内市牛窓町

美観地区のなまこ壁を撮影。漆喰などの素材のディテールが凄い=倉敷市

 皆さんはデジタルカメラのメーカーで何社、思いつくでしょうか? キヤノン、ニコン、ソニー、パナソニック、富士フイルム、ペンタックス、オリンパス、リコー、ライカ・・・。これ以外もありますが、カメラ店などで目にするのは前述のメーカーだと思います。今回、中古ですが「それ以外」のデジタルカメラをゲットしました。交換レンズで有名な「シグマ」です。

 シグマは優秀なレンズを造っており、純正をやめてシグマに買い換えるカメラマンもいるほどの有名光学メーカーです。レンズにばかり目がいくシグマですが、2002年にはデジタル一眼レフを出しています。特徴的なのが電子のフィルムであるイメージセンサーの構造です。シグマは「Foveon(フォビオン)」センサーを採用しています。FoveonはアメリカのFoveon社が設計したイメージセンサーです。

 この仕組みはメカに弱い小生には理論的に説明するのは無理! ですが、直感的に説明します。皆さんが慣れ親しんでいるデジタルカメラは一眼レフ、ミラーレスなどは「ベイヤー式」というタイプになっています。これは光を分解する緑、赤、青のフィルターが一枚のセンサー上に散りばめられている形になります。緑2対赤1対青1の割合です(緑が多いのは人間の目の見え方に近くするためだそう)。例えば2000万画素のカメラなら緑担当フィルターは1000万、赤と青はそれぞれ500万あると理解しています。ちょっとガッカリ感が出た? そう思った方もおられるでしょう。しかし、このベイヤー式は良いことだらけです。高感度にも強く、連写もOK! 電池の消費も少なくて、撮影時に電池の残量が気になりません。

 保守本流ベイヤー式の前に立ちはだかったのがシグマ採用のFoveonです。後輪駆動が当たり前だった20世紀前半に、前輪駆動を出したシトロエンみたいなカッコ良さです。以前からこの反骨精神が気に入っていたものの、何となく手が出せませんでした。で、Foveonセンサーの説明を直感的にします。これは青、緑、赤のセンサーが三層構造になっています。つまりカラーフィルムみたいになっています。仮に1000万画素なら青1000万、緑1000万、赤1000万の合計3000万で撮って、後からデータ処理を施して1000万画素にしているのです。すげー!

 ゲットしたカメラは「dp2 クワトロ」というタイプです(2014年発売)。APSサイズのセンサーで3900万画素。今までの1対1対1ではなく、1対1対4に変えました。こうすることにより、高画素で起こる画像処理時間の膨大化を抑制したそうです。標準レンズで35ミリ換算45ミリ相当。特徴的なのはカメラの形です。ビヨーンと横長で不思議なスタイルです。撮影した感想ですが、評判どおり電池の消費が凄まじい!20~30枚撮っただけでも電池の20パーセントくらい減っています。撮影しているとセンサーのあるレンズ真裏部分が熱くなってきます。センサーの性能は冷やしたほうが良い。となると、人間の手が触れて体温が吸収されるシャッターやグリップ部分をできるだけ離したい。この特異な形はシグマ技術者の努力の証だったのです。

 画像は良い意味で非常に地味です。一般的に真っ青な空、真っ赤なモミジなど派手な写真がもてはやされますが、本当に良い写真は地味なものです。合成調味料など加えない、素材本来の味といった感じです。昔、リバーサルフィルムで「コダクローム」がありましたが、それを思い出しました。ノイズや偽色が出やすいので感度はISO200くらいまでが無難。 撮影後のデータ処理時間を減らしたとは言え、やはり膨大なので再生画面を見るのも陸上100メートル走世界記録ぐらいはかかります。ファイル形式にもよりますが、16GBのカードで200枚も撮れないと思いますし、何より電池消費量が多いので100枚くらいで打ち止めになります。

 画像は凄くても撮影枚数や感度、処理時間など考えれば、苦労が多いカメラです。でも撮っていると、フィルムカメラ時代を彷彿とさせてくれます。例えば36枚撮りフィルムなら、2本撮っただけでも満足感はシッカリあるものです。クワトロは20世紀にニコンF3やライカで撮っていた頃を思い出させてくれました。デジタルなのにまるでフィルムカメラ! それが、クワトロでした。ライカファンだった者の矜持(きょうじ)として、クワトロにはライカの外付けファインダーを付け、極力そこを覗いてシャッターを切っています。

  ◇

蜂谷秀人(はちや ひでと)フリーランスカメラマン。ファジアーノ岡山オフィシャルカメラマン、日本写真家協会会員。1985年、日本大学芸術学部写真学科卒業後、山陽新聞社入社。編集局写真部を皮切りに夕刊編集部、家庭レジャー部記者を経て1995年に独立。1962年岡山市生まれ。

【蜂谷秀人の写真雑記帳】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.