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旭川ダムの大量放流が間際で回避 西日本豪雨で浸水拡大した恐れ

異常洪水時防災操作を実施する間際だった旭川ダム(写真は岡山市内に大雨警報が出ていた9月9日)

 西日本豪雨が岡山県内を直撃した7月6日深夜から7日未明にかけ、県管理の旭川ダム(岡山市北区建部町鶴田)で緊急時に行う大量放流が実施間際だったことが13日、県などへの取材で分かった。雨が小康状態になったため回避されたが、仮に実施していれば、安全基準の5・6倍となる毎秒3700トンが放流され、旭川の下流域で浸水被害が拡大した可能性があった。

 今回の豪雨を巡っては、愛媛県の肱(ひじ)川上流にある二つのダム(大洲、西予市)が緊急的に大量放流。多くの世帯が浸水して8人が死亡するなど、非常時のダム操作の在り方が新たな災害対応の課題として浮上している。

 大量放流は「異常洪水時防災操作」と呼ばれ、流入した水とほぼ同じ量を放流する。ダムの水があふれて電気系統の設備が故障するのを防ぐことが狙い。下流域で洪水が起きる可能性が高まるため、全国558カ所のダムでも昨年末までの過去10年間で40回しか行われておらず、岡山県内では今回の豪雨で高梁川水系の河本ダム(新見市)が6日午後11時から約1時間半にわたり実施するまで例がなかった。

 旭川ダムは総貯水容量が5738万2千トンと河本ダムを上回り、県内で4番目に大きい。防災操作については、ダムの水位が満水に近い38・35メートル(コンクリート堤部分)を超える恐れがある場合に判断すると県の規則で定めており、7日午前1時半には37・22メートルに達していた。

 旭川ダムの管理事務所は水位上昇を受け、放流量を拡大。下流域で家屋の浸水被害が起きないとされる安全基準は毎秒650トンだが、6日午後7時に毎秒1千トン、同10時には同2千トン、7日午前0時20分には同2412トンに引き上げて防災操作に踏み切るタイミングを見極めていた。

 一方、県を介して状況を把握した岡山市は6日午後10時、浸水の危険性が高い旭川の中州にある中区東中島町、西中島町(計160世帯273人)に避難指示を発令。消防署員らが住宅一軒一軒に避難を呼び掛ける異例の対応を取った。

 雨はその後弱まり、流域平均の1時間雨量は6日午後4時から10時にかけて29・8~11・8ミリだったのが、同11時には7・0ミリに落ち着いた。ダムの水位も7日の明け方に下降し、防災操作は免れた。

 旭川の下流域では、岡山市北区御津国ケ原で堤防が決壊し、床上浸水が発生している。県河川課は「防災操作を実施すれば、流域で浸水被害が拡大していた恐れがあった。今後は住民の早期避難に向け、きめ細かい河川の水位予測情報などを発信できるよう検討していく」としている。

 旭川ダム 治水や利水、発電を担う多目的ダムで、岡山県が1954年に完成させた。県内に甚大な被害をもたらした34年の室戸台風の洪水を想定して整備。高さ45メートルのコンクリート堤が水をせき止め、全10ゲート(水門)で放水量を調整する。
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