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ハザードマップ 住民に浸透不十分 豪雨被害の真備でも認知度低く

倉敷市真備町地区のハザードマップの一部。色分けした浸水の予測と実際の範囲がほぼ一致していた

 西日本豪雨を機に、浸水や土砂災害の危険箇所を示す「ハザードマップ」(危険予測地図)が住民に浸透していないという課題が浮かび上がっている。甚大な浸水被害が起きた倉敷市真備町地区でも認知度は低く、避難時に生かされなかったとの声が目立つ。同地区ではマップの予測と実際の浸水範囲がほぼ合致。国は各自治体に住民への周知徹底をあらためて要請している。

 「マップは一度見たことがあるくらい。これまで避難した経験もなく、自宅は大丈夫だと思っていた」

 倉敷市真備町地区で被災した男性(69)が話す。雨が激しさを増していた先月7日、自宅から周囲の様子を見ていたところ、水かさが一気に増して2階近くまで浸水。近所の住民からボートを借りて何とか避難した。

■予測とほぼ一致

 山陽新聞社が真備町地区の住民100人に先月行ったアンケートによると、75%がマップの存在を知っていたが、内容を理解していたのは24%にとどまった。同地区の別の男性(79)も「配られたときにざっと見た程度」と打ち明ける。

 倉敷市は2016年に洪水・土砂災害ハザードマップを改訂し、高梁川や小田川が決壊した場合の浸水区域や深さを程度に応じ色分けして表示した。今回の豪雨では同地区の3割に当たる約1200ヘクタールが浸水し、予測と実際の浸水範囲がほぼ一致。住民に周知徹底されていれば、犠牲者は減らせた可能性がある。

 市はこれまで、市広報紙とともにマップを全世帯に配布。広報紙でマップの使い方などの特集を組んだほか、自主防災組織などの依頼を受けて出前講座を開き、17年度は市内で48回(真備町では1回)開催し、マップの存在を知らせてきた。

 それでも今回の豪雨で真備町地区では51人の死者が出た。市担当課は「マップが避難に生かせていなかったとすれば非常に悔やまれる」と声を落とす。

■身近なものに 

 周知不足は倉敷市に限らないようだ。砂川の決壊で周辺の2230棟が浸水した岡山市。16年3月に洪水・土砂災害のマップを改訂し、使い方の出前講座などを市全域で年170回程度開いているものの、防災担当者は「来るのは防災意識の高い人。家族や近所には広がらない」とこぼす。

 真庭市は出前講座のほか、水害が起こりやすい5、6月に広報紙でマップ活用を呼び掛けてきたが「すぐ取り出せる場所に保管されていない。新たな周知方法を考えねば」と担当者は言う。

 国土交通省は西日本豪雨を受け7月13日付で、マップを住民に周知徹底するよう各都道府県に通知。石井啓一国交相は会見で「マップの存在が知られていないなど、防災情報の確実な提供には改善すべき点がある」と語った。

 防災マップに詳しい山陽学園大の渋谷俊彦教授(建築学)は「マップが身近なものと感じられるよう、作成時から住民の意見をよく聞くことが大切。(書き込んで学べる)ワークブック形式を採用するなど内容にも工夫が必要だ」と指摘する。
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