文字

西日本豪雨1週間 避難の在り方も問われる

 岡山、広島両県などを中心に甚大な被害をもたらした西日本豪雨は、きょうで発生から1週間になる。

 警察庁によると、死者は14府県で200人に上った。これまでに岡山県で59人、広島県で91人が犠牲となり、中でも浸水被害の大きかった倉敷市真備町地区では50人の遺体が見つかっている。

 まだ安否の分からない人が60人以上いる。被害はさらに拡大する見通しだ。

 土砂崩れも笠岡、井原市など各地で多発した。雨で地盤が緩み、今後の気象状況によっては新たな土砂災害が発生する恐れもある。福山市などではため池の亀裂が相次いで見つかっており、気を抜かず警戒を続けたい。

 各地で寸断された交通網や、止まっている水道、電気などライフラインの復旧も急がねばならない。全国ではいまも約7千人が避難所に身を寄せ、岡山県は3千人以上が避難を余儀なくされている。夏場の暑さと被災した家の片付けなどによる、疲労や体調悪化が心配だ。行政や関係機関も疲労は募っていようが、被災者へ支援をスムーズに届けてほしい。

 国の後押しも重要となる。視察で岡山入りした安倍晋三首相は11日、激甚災害指定に関して「迅速な指定へ政府内の作業を急ぐ」と約束した。行政がちゅうちょせずに復旧や被災者支援に取り組めるよう、補正予算を含めて万全を尽くしてもらいたい。

 西日本豪雨の特徴は、広域で同時多発的に被害が発生したことである。6日から7日にかけ、9府県で「数十年に1度」として最大限の警戒を呼び掛ける「大雨特別警報」が発表された。これほどの広域で出されたことはかつてなく、予想を超えた自然の猛威からどう住民の命を守るかという課題を突きつけた。

 浸水被害の大きい真備町地区の小田川の北側では高台への避難指示が、7日未明になって出された。このため避難所へ行くのをあきらめ、自宅にとどまった人が大勢いる。その後に川が決壊し、一部の家屋は2階まで水が達した。

 自宅避難の際は2階へ上がるなど「垂直避難」が鉄則だが、体が不自由だったりすると難しい。犠牲者の大半は高齢者で、自宅内で見つかった人が多いという。

 同地区は約1200ヘクタールが浸水した。洪水や土砂災害の危険箇所を示す「ハザードマップ」(危険予測地図)と実際の浸水範囲はほぼ一致した。しかし、マップの存在を知らなかった人も多かったとみられる。

 洪水対策が長年の懸案で、今秋にも川の付け替え工事着工を控えていただけに、もっと早い段階で危険を察知し、適切な避難指示ができていればと悔やまれてならない。

 他の地域でも、大雨特別警報の危険度がどこまで行政や住民に伝わり、活用されたのかを検証し、教訓として今後に生かす必要がある。

【社説】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.