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最期は愛犬とともにが唯一の救い 豪雨で犠牲、倉敷・斉藤さん

斉藤庚恵さん

 西日本豪雨で倉敷市真備町の斉藤謙介さん(50)は、隣の平屋で暮らしていた母庚恵(かなえ)さん(76)を失った。「どうすることもできなかった」。助けられなかった自分を責めながら、濁流の爪痕が残る自宅の片付けを黙々と進めている。

 斉藤さんらによると、地元で生まれ育った庚恵さんは明るく前向きな人柄。6日朝は近所に配ろうと、いなりずしづくりに励んでいた。優しい気配りは家族にも同じで、足腰が弱っていたことを気にしてか、周囲には「共働きの息子夫婦に迷惑は掛けたくない」とよく話していたという。

 水位が上がり始めた6日夜、2階建ての斉藤さん方へ避難するよう何度も促したが、庚恵さんは「腰も悪いからここにおるわ」ととどまった。助けを求める電話があったのは7日午前0時半ごろ。停電し、水量は外出が危険なほどになっていた。

 「水が床まで来てるわ」。それが最後の会話だった。水が引いた翌朝、斉藤さんは廊下に倒れている庚恵さんを見つけた。「こんなことになるなんて。自分が甘かった」。後悔の念がこみ上げた。

 タオルで拭った母の表情は安らかだった。近くに愛犬が眠っていた。「最期に一人じゃなかった。それがたった一つの救いです」。斉藤さんは声を振り絞るように話した。
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