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被災した真備町 支援ニーズ届いているか

 ようやく水が引いた倉敷市真備町地区の浸水地域は、茶色い泥に覆われていた。西日本豪雨による川の決壊の濁流で、住宅や事業所などが軒並み被災。梅雨明け後の強い日差しで泥が乾いて砂ぼこりが巻き上がり、時に息苦しいほどだ。

 日常生活に必要な都市機能の多くが失われた。住民が元の暮らしを取り戻すためにどれほどの時間と労力が必要か。救援活動も継続中だ。考えられる限りの支援を続けなければならない。

 住宅街では駐車場に止まったまま水没したとみられる車がいたるところにある。庭先には家屋から流れ出した家財道具や木材が散乱し、プロパンガスのボンベのような危険物も交じっていた。

 避難所から一時自宅に戻り、片付けを始めていた70代男性は、迫る濁流からボートで救出されたという。自宅の床に積もった泥を前に「どこから片付ければよいのか」と途方に暮れていた。

 多くの人が過ごす避難所も厳しい暑さで極めて過酷な環境になっている。体育館では扇風機が回っているが、それでも座っているだけで汗がにじむ。70代男性は、暑さや避難者同士の話し声が気になって夜も眠れないと言う。「このままでは倒れそう。早くゆっくり休める環境がほしい」と訴えた。

 今後、暑さはさらに厳しさを増す。避難所環境の改善は急務だ。東日本大震災で活用されたような、旅館やホテルを一時的に借り上げる2次避難も有効な手段だろう。

 避難所で過ごす人たちは家や車が水没し、預金通帳などの貴重品も持ち出せていない人が少なくない。自宅を片付けたくても移動する手段がなく、身動きが取れず途方に暮れる人もいた。多くの人が着の身着のままで逃げてきている。早急にサポートしたい。

 高齢者が多く、体調の変化が懸念される。医療や介護面などでのケアにも十分な配慮が求められる。

 今後は罹災(りさい)証明の取得など各種手続きも必要となる。倉敷市は被災者からニーズを聞き、移動のための交通手段を提供するなど踏み込んだ支援をしてもらいたい。

 現地では事業所も多くが被災した。まちの復旧には、地域の雇用を支える地場企業の復興が欠かせない。ただ、従業員も被災したケースは多い。市は、国や岡山県と連携してきめ細かい支援に努める必要がある。

 今回、堤防が決壊した高梁川の支流・小田川は過去、何度も氾濫して危険性が指摘されていた。治水対策として国土交通省が今秋にも高梁川との合流部の付け替えに着工する予定だった。完成にはおおむね10年を要する見通しというが、今回の教訓を踏まえて可能な限り早期に進めることが望まれる。

 逃げ遅れた犠牲者が多かっただけに、避難指示の在り方も今後、検証が必要だろう。

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