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倉敷・真備で高齢者相次ぎ犠牲に 住民ら涙「逃げてと連絡すれば」

被災した民家で行方不明者を捜索する消防隊員ら=10日午後3時2分、倉敷市真備町箭田

 「逃げるように連絡していれば」「仲の良い夫婦だったのに」―。豪雨と河川の氾濫で広範囲が水没した倉敷市真備町辻田地区では多くの高齢者が自宅に取り残され、相次ぎ犠牲になった。悔しさ、つらさ、やりきれなさ。間一髪で難を逃れた住民たちは、命を落とした人たちにさまざまな感情を抱き、涙した。

 エリアの約27%に当たる1200ヘクタールが浸水した真備町地区。北東部にある辻田地区では1人暮らしの女性(78)が遺体で見つかった。高齢者施設に入所していたものの「1人でも大丈夫」と3年ほど前、住み慣れた自宅に戻った。脚が不自由だった。1階に布団を敷き、ほぼ寝たきりの生活だったという。

 女性を思い「申し訳ない気持ちでいっぱい」と声を詰まらせたのは近所の佐藤豊子さん(68)だ。以前は月に1度、女性方を訪ね、自身の孫の様子を聞いてもらった。「『何かあれば電話して』って伝えていた。避難の時に自分から連絡をすればよかった…」。

 平屋の自宅で暮らし、手押し車で歩く夫(86)と、いつも寄り添ってきた妻(84)の2人も遺体で見つかった。近所の女性(77)は、浸水区域が広がっていた7日朝、妻から「お宅の2階に上げてもらえんかな」と携帯電話に連絡があった。自宅から避難した後だった。早く逃げて―と伝えるのがやっとだった。「仲むつまじい夫婦だった。気の毒で言葉がない」と頬をぬらした。

 盆栽いじりが趣味だったという男性(74)も濁流の犠牲になった。自宅庭先に浮く材木にしがみついていた男性の妻は近所の人に助け出された。男性が後に続くよう祈り、向かいの自宅2階から見守った川畑恒男さん(69)は言った。「人生をかけて建てた家だから、最後まで見にゃいかんと思ったのかもしれん」
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