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広がる豪雨被害 被災地の生活再建に力を

 西日本を中心に降った記録的な大雨で、すさまじい被害の実態が明らかになってきた。犠牲者は12府県にまたがって100人を超え、岡山、広島県内でも新たな犠牲者が次々と発見されている。

 天候が回復し、岡山県内の被災地では行方不明者らの捜索が本格化した。倉敷、総社、笠岡市などで新たな犠牲者が判明した。

 特に、地区の3割近くという広い範囲が浸水した倉敷市真備町地区の被害は目を覆う。地域の病院で孤立状態になっていた約300人の患者らは懸命の作業で救助されたが、水没していた民家などから新たに高齢者らの遺体が相次いで見つかっている。堤防の決壊で流れ込んだ水かさの上昇が速すぎて逃げ遅れた可能性がある。あまりに痛ましく、何とか助かる手だてはなかったか悔やまれる。

 市によると、同地区で家屋などに取り残された人の数は把握できていないという。水が引き始めたばかりで、被害の全容がつかみにくい状況だろう。引き続き、不明者の捜索に全力を挙げてほしい。

 各地に設けられた避難所に身を寄せている人も多数に上っている。岡山県内では日中は気温30度を超す暑さが戻っており、学校の体育館などエアコンのない環境で避難者が熱中症になる恐れがある。

 車の中で過ごす人もおり、同じ姿勢で長時間いることで発症するエコノミー症候群も心配だ。不自由な避難生活で不調をきたすのを防ぐため、必要な物資の供給をはじめとして避難者のケアに万全を尽くしてもらいたい。

 天候の回復を受け、被災者が浸水したり、土砂が流れ込んだりした自宅の片付けに戻る姿も多く見られる。生活再建に向けては、まずは水道や電気をはじめとするライフラインの早期復旧が不可欠となる。断水地域では円滑な給水活動に力を注いでほしい。

 住宅に被害が生じた際に、程度などに応じて支援金が支給される被災者生活再建支援法の活用など、被災地の実態を踏まえて適切な支援を行っていくことが大切だ。

 住宅の片付けなどを手伝う災害ボランティアの力もこれから必要になる。応援に入る時期や内容などは被災地の意向やニーズを最優先しつつ、官民を挙げて支援に手を尽くしたい。

 被害の甚大な地域に関心が集まりがちだが、各地で農作物に被害が出たり、浸水で機械などが被害を受けた事業者も出たりしている。通勤・通学の足である鉄道も一部で不通となり、道路が寸断されて物流網にも支障が生じたことで、一部の店舗では品薄も起きているようだ。

 ちょうど1年前の7月に九州北部を襲った豪雨の被災地では、なお千人以上の人が避難生活を余儀なくされている。今回も災害の爪痕は深く、元の生活を取り戻すには時間がかかろう。物心両面で息の長い支援が欠かせない。

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