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「1995年」は30歳前後から…

 「1995年」は30歳前後から上の世代には強烈な記憶として焼き付いていよう。1月に阪神大震災が、3月に地下鉄サリン事件が起きた。事件の被害者をインタビューした作家の村上春樹さんは「日本の戦後の歴史を画する、きわめて重い意味を持つ二つの悲劇だった」と書いている(「アンダーグラウンド」講談社)▼社会を震撼(しんかん)させたオウム真理教の数々の犯罪。犠牲者は29人に上り、6500人以上が被害に遭った。23年がたっても後遺症に苦しむ人がいる。理想郷を求めて高学歴の若者が多数入信した点など、社会にも深い傷跡を刻んだ▼事件を首謀した教祖、松本智津夫死刑囚の刑が、幹部ら6死刑囚とともにきのう執行された。遺族や被害者にとっては一つの区切りだろうか▼だが、松本死刑囚は自らの裁判では沈黙に逃げ込み、核心を語らなかった。真相に迫れないままの断罪は少なからず無念であろう▼オウム真理教とは一体何だったのか。村上さんは同著で、一般市民の「こちら側」とオウムの「あちら側」は、「合わせ鏡的な像を共有していたのではないか」としている。それを直視することが、社会のどこかに潜んでいる「オウム的なもの」の芽を摘むことかもしれない▼死刑執行で事件は終わらない。次の世代へ、記憶をどう引き継ぐか。これからも風化との戦いである。

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