文字

東京の人気伊料理店が牛窓で復活 「acca」オーナー林さん

「acca」オーナーシェフの林さん。東京の店を畳み瀬戸内周遊の旅をした際、牛窓の景色が心にすっと入ってきたと話す

 かつて東京・広尾に数カ月先まで予約で埋まるイタリアンレストランがあった。林冬青さん(53)がオーナーシェフを務める「ACCA(アッカ)」だ。人気絶頂の2013年に店を閉じ、14年に瀬戸内市牛窓町に移住。瀬戸内海を望む丘に「acca」として店を再開した。「ミラノと時差のない料理」と賞された人気店はなぜ地方の港町を再起の地に選んだのか。林さんに聞いた。

 ◇

 オリーブ園(同市牛窓町牛窓)から瀬戸内海を見たとき、心が解き放たれるように感じた。09年にマダムとして店を切り盛りしてきた母の病気が発覚。店を改装して母の休憩室を作り、仕事と介護を両立しようとしたが、大変だった。11年の東日本大震災で、顧客の外国人が帰国し、店に空席の出る日もあった。そこで、思い切って店を畳み、母を連れて瀬戸内周遊の旅をする中で出合ったのが牛窓。不安を抱えた僕の心に牛窓の景色が、すっと入ってきた。

 <林さんは東京・広尾生まれ。東京で3年、イタリアで5年、修業を積み、97年にACCAをオープンした。芥川賞作家のエッセーや英字紙ジャパンタイムズでも取り上げられ、高く評価された>

 それでも葛藤はあった。イタリアではミラノのほか、トスカーナやシチリアなど地方のレストランも転々とし、各郷土の味に触れてきた。東京より地方で気候風土に寄り添うような料理を作りたいという思いがどこかにあった。イタリアの海は地中海の一部で内海。陸地から栄養分が流れ込み、水はどことなく甘い。瀬戸内海は条件がよく似ている。

 <牛窓は工場群がなく、アクセスしやすいのも決め手だった。縁もゆかりもなかったが移住を決断。商工会を通じ、地元企業が管理する国際交流ヴィラを借り、店を再開した>

 牛窓は魚がいい。ほぼ100%使っている。外海と違ってミネラルが豊富なため、火を入れると身がふわっと仕上がる。築地の魚はいけすの中で“生かされている”だけで、決定的に違う。地元の鮮魚店で仕入れ、魚を中心にコースを組み立てる。地元の野菜ももちろん使う。ただ、地産地消にこだわっているわけではない。それを意識しすぎると、生産者の方を向いて料理するようになってしまうので、あくまで食材は自分の目で選ぶ。

 <当初、予約は1組6人まで。現在は3組10人までを受け付けているが、相変わらず予約が相次ぐ人気ぶり>

 東京には料理人が集まりすぎている。家賃は高いし、才能があっても、やりたいことをあきらめている人も多いはず。料理人が全国に散らばり、あちこちにレストランやバルができれば、経済効果という意味でも、地方を盛り上げることができるかもしれない。
カテゴリ:

【地域の話題】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.