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真庭バイオマス発電所フル稼働 売電目標クリア、地域に経済循環

操業開始以来、フル稼働が続く真庭バイオマス発電所=真庭市目木

 木質資源を活用した真庭バイオマス発電所(真庭市目木)が稼働し、丸3年が経過した。操業開始以来、地域ぐるみの安定した燃料供給でフル稼働が続く。売電収入は21億円の年間目標を3年連続でクリアし、地域内で経済循環も生まれてきた。一方で、発電事業を永続させていくために、基盤となる林業や木材業復活への取り組み強化が求められている。

 「成果は想定以上。着実に地域振興のエンジンになっている」。発電所運営会社の中島浩一郎社長(65)は振り返る。

 同発電所は間伐材など未利用木材を主燃料とする国内最大級の木質バイオマス発電所として2015年4月20日に本格稼働した。運転時の平均出力はほぼ100%をキープし、年間発電量は平均で約8万1千メガワット時。一般家庭約2万2500世帯分に相当し、市の世帯数(約1万7800世帯)を大きく上回る。

 売電収入は初年度(22・3億円)から目標を毎年突破し、17年度は新電力4社に対し約24億円を売り上げた。

 これまで、ごみ同然だった木くずが燃料資源として生まれ変わり、地域にお金も落ちるようになった。発電所から支払われる年間約13億~14億円の燃料購入費が、地元のチップ工場など約170事業者の新たな収入源として還元されている。

全国モデル  

 高操業を支えているのが、地域を挙げた燃料供給体制だ。

 燃料用木材は西日本有数の林業・木材業産地の強みを生かし、山から搬出した未利用材のほか、市内外の製材所から出る端材、樹皮などを地域全体から幅広く集荷。発電所への搬入も、製材所や山から木を切り出す素材生産業者、チップ工場でつくる木質資源安定供給協議会(現在75企業・団体)が工場に納入される木材量やチップの在庫量を一元管理する。

 協議会は、国の「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度」での売却分に加え、山林所有者に1トン当たり500円を支払う独自の制度を設け、未利用材の搬出も促している。

 資源エネルギー庁によると、真庭市と同様の発電所は計画中も含め全国で約580カ所だが、燃料確保に苦戦している施設もあるといい、同庁担当者は「地域全体で木材量を山元から把握し、燃料供給につなげている真庭はまさに全国モデル」と太鼓判を押す。

推進協発足   

 経済循環など地域への波及効果も大きい発電事業。安定操業を続けるためには、山から供給される木材が建築などの「用材」として十分利用されることや、新たな需要創出といった林業・木材業の復活、再生が欠かせない。

 発電事業は未利用資源の有効活用が基本。木材が活発に使われ、本来の利用価値を発揮して初めて、副産物である発電用の燃料材の確保も安定し、資源を無駄なく使い切るバイオマス事業の価値も高まるからだ。

 真庭市では今春、新建材CLT(直交集成板)を活用した小学校とこども園を開校するなど木材の用途拡大に注力する一方、昨年11月には効率的な森林経営の在り方を探る官民連携の「美甘地区森林づくり推進協議会」を発足させた。5700ヘクタールの山林をモデルに、約2年掛けて伐採作業地の集約化と道路網整備を進め、生産性向上やコスト競争力の強化を目指す考えだ。

 太田昇市長は「発電事業を契機とした好循環を基幹産業の振興、地域の活力創出につなげたい」と意気込んでいる。

 真庭バイオマス発電所 木質資源を加工したチップ燃料を燃やし、蒸気でタービンを回して発電する。2015年4月10日に完成し、試験運転を経て同20日に24時間操業に入った。真庭市や市内の集成材メーカー、森林組合など10社・団体が出資する株式会社・真庭バイオマス発電が運営。総事業費は国の補助を含め約41億円。市役所のほか、市内ほぼ全ての小中学校に電気を供給しており、エネルギーの地産地消が広がっている。
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