文字

膵臓希少がん壊死 臨床研究で成果 岡山大病院、最長2年再発なし

膵臓に生じた神経内分泌腫瘍(写真左の矢印で示した白い部分)。エタノール注入後、壊死した腫瘍(写真右)=岡山大病院提供

松本和幸助教

 超音波内視鏡と特殊な針を使い、膵臓(すいぞう)に生じる希少がん「神経内分泌腫瘍」にエタノールを注入して壊死(えし)させる国内初の臨床研究で、岡山大病院(岡山市)が患者5人中4人の腫瘍を壊死させることに成功した。再発は最長2年間なく、一定の有効性が確認できたとして、東京で19日に始まる日本消化器病学会総会で発表する。

 この腫瘍は膵臓の内分泌細胞から発症し、2011年に亡くなった米アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏が患ったことで知られる。腫瘍を壊死させる効果があるエタノールの注入療法は、早期の肝臓がん治療などで用いられてきたが、胃や十二指腸、肝臓に囲まれ、体内の奥深くに位置するため高度な技術が求められる膵臓での成功は、同種腫瘍に悩む患者に福音となりそうだ。

 臨床研究は消化器内科の岡田裕之教授、松本和幸助教らが2015年秋に着手した。腫瘍の大きさが早期段階に当たる直径2センチ以下で、肝臓やリンパ節への転移の可能性が低い50~70代の患者男女5人に実施。口から挿入した超音波内視鏡を胃や十二指腸まで到達させ、これらの裏側にある膵臓の腫瘍をエコー画像で特定して針を刺し、エタノール約1ミリリットルを注入した。

 岡山大病院によると、コンピューター断層撮影装置(CT)による検査で、1例目の患者は治療2年後で再発がなく、他の3人は10~1カ月後で確認されなかった。残る1人はエタノールを0・9ミリリットルずつ2回注入したが、腫瘍の膜の厚さが不十分なため腫瘍外に拡散して効果を上げられなかった可能性がある。

 神経内分泌腫瘍は、国内の年間発生率が10万人に1人とされ、早期でも部位により膵臓の半分や周辺の十二指腸、胆管などの切除が必要となる。今回の臨床研究の治療法は従来に比べ、体への負担が格段に少ない点が最大の特長という。

 松本助教は有効性の判断には5年以上の経過観察が必要とする一方、「膵臓を切除せず、血糖値を下げる『インスリン』の分泌機能を損なわないため糖尿病となる心配もない」としており、岡山大倫理委員会で承認を得て症例を積み重ね、将来的には保険診療を目指す考えだ。
カテゴリ:

【医療・福祉】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.