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作家の橋本治さんの近作「九十八…

 作家の橋本治さんの近作「九十八歳になった私」は、30年後の自身を空想した小説だ。主人公は東京を襲った大震災を生き延びた作家で、仮設住宅で暮らしている▼想像にユーモアを交えて未来の日常をつづる中で、東京の姿はある意味、悲劇的だ。地方から働き盛りの若者を吸い上げた揚げ句、大震災に襲われた。その多くが犠牲となり、復興どころか「自力」では倒れた建物の片付けさえ進まない。描かれているのは、行き過ぎた一極集中の結末である▼こちらは現実社会の未来予想図だ。国立社会保障・人口問題研究所が公表した最新の都道府県別の人口推計で、30年後には東京だけは増加に転じることが分かった。5年前の前回は全都道府県が人口減だった▼地方から東京への人の流れがこの5年で加速したことが影響したという。岡山県も30万人減って162万人になる。27市町村の3分の2で、住民が今より3割以上も減る▼政府が旗を振る地方創生も5年目に入った。本年度、国は地方の大学と自治体、企業がタッグを組む新産業創出の支援などに取り組み、岡山県はこれまで手薄だった学生のUターン就職促進を強化するという▼成果はなかなか形に表れず、特効薬は容易に見つからない。とはいえ、東京の独り勝ちを食い止めねば、橋本さんの小説が予言書になりかねない。
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