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赤ちゃんの股関節脱臼後絶たず 川崎医大調査、見過ごし1歳で1割

 赤ちゃんの脚の付け根の関節が外れる病気「先天性股関節脱臼」を巡り、診断が遅れて手術が必要な重症者になるケースが岡山県内で依然後を絶たないことが、川崎医科大(倉敷市松島)の調査で分かった。直近10年間の重症者は、1割近くが健診を経ても1歳まで病気が見過ごされていた。軽症を含めた患者の全体数はこの数十年間で大幅に減ったとされ、専門医らは「病気に対する認識が薄れている」として知識の普及に力を入れている。

 同大骨・関節整形外科の三谷茂教授が、治療に当たってきた県内3病院に残る重症患者のデータ(1954~2014年で1459人)を分析した。1歳を過ぎてから診断されたのは、05~14年の重症者(119人)の9・2%に上り、85~94年(10・3%)や95~04年(11・0%)を含めて1割前後が続いている。直近の10年では、3歳でも気づかれていない例もあった。

 一方で、重症者の全体数は長期的に大きく減る傾向にあることが判明。年別に見ると、ピークの56年は80人だったが、10~14年は6~10人と10分の1程度だった。国内では70年ごろまで布の三角おむつなどが使われ、股関節が締め付けられて脱臼が多発したが、その後の予防啓発の効果から患者全体が減ったとみられている。

 「病気が忘れられつつある中で、3カ月健診などで医療関係者も発見できないまま、歩き始めてから気付くことが少なくないようだ」と三谷教授。

 発見が遅れると、脱臼したまま骨が成長し、手術が必要になるなど治療は難航する。将来、歩行に支障を来したり、痛みが出たりする変形性股関節症に進行する危険性も高くなるという。

 日本小児整形外科学会などは、健診に携わる助産師や保健師、保護者向けのパンフレット、小児科医向けの手引を作り、病気への理解を促している。三谷教授は「地域での啓発を通じ、予防法の普及と健診体制の充実につなげたい」としている。

 先天性股関節脱臼 遺伝的な要因で出生時に脱臼している場合に加え、抱っこの仕方やおむつの替え方といった生活環境が引き金となり、生まれた後に脱臼することも多い。重軽症者を合わせた県内の新規患者数は年間230~240人と推計され、男の子より、関節が柔らかい女の子に多く、男女比は1対9との報告もある。生後6カ月ごろまでに見つかれば、外来通院などでほとんどが治るとされる。
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