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両備、バス31路線の廃止届撤回 利用者要請踏まえ、小嶋代表方針

会見でバス路線廃止届の取り下げについて説明する小嶋代表=岡山市役所

バス路線廃止届の取り下げについて会見する(左から)小嶋代表、大森市長、伊東市長、黒田市長、武久市長=岡山市役所

 両備グループの小嶋光信代表は14日、岡山市役所で会見し、両備ホールディングス(岡山市北区錦町)と岡山電気軌道(同市中区徳吉町)のグループ2社が中国運輸局に提出していたバス31路線の廃止届を、今週中に取り下げる方針を明らかにした。対象路線のある岡山、倉敷、玉野、瀬戸内市の4市長からこの日出された廃止届撤回の要請などを踏まえた。

 2社は2月上旬、八晃運輸(岡山市中区倉益)の循環バス「めぐりん」が同市中心部と同市東区西大寺地区を結ぶ競合路線を開設する計画を踏まえ、収益性が下がるとして赤字幅の大きいバス路線の廃止届を提出していた。バス利用者や関係自治体に波紋を広げた問題は、1カ月余りで収束に向かう見通しとなった。

 小嶋氏は会見冒頭、「市民に大きな不安と心配を与えたことをおわびしたい」と謝罪。4月が迫る中、新社会人や新入生への不安を取り除く必要があったとし「(廃止届撤回を求めた)市長の方々の熱意を聞き、今月中に結論を出さないといけないと思った」と決断理由を説明した。

 小嶋氏は廃止届について、競争が激化する公共交通の在り方に一石を投じる問題提起としており、石井啓一国土交通相が地域の公共交通政策を進める考えを示したことや、岡山県が関係市や中国運輸局、グループ2社と路線の維持・確保に向けた検討会などを立ち上げて議論する見通しとなったことも取り下げの理由に挙げた。

 一方で、めぐりんの認可理由の開示を今後も国に求め、結果次第では認可の取り消しなどを要求するとの従来方針を繰り返した。

 グループ2社の31路線は2019年3月末に廃止する予定だった。方針の変更を受け、中国運輸局は「利用者にとって良い方向になるよう対応したい」としている。

■公共交通維持へ方策検討 4市首長ら一様に安堵

 両備グループの小嶋光信代表が中国運輸局に提出していた赤字幅の大きいバス31路線の廃止届の取り下げを表明した14日、関係4市の首長らは一様に安堵(あんど)した。ただ住民の足を失いかねない事態に直面し、会見ではそれぞれの立場から地域の公共交通を維持する方策を重点課題として検討する姿勢を強調した。

 この日、岡山市役所で小嶋代表に廃止届の早期撤回を要請した岡山、倉敷、玉野、瀬戸内の4市長は終了後、小嶋代表とそろって会見に臨んだ。

 31路線のうち、24路線が含まれた岡山市の大森雅夫市長は両備側の対応について「廃止を目的としない廃止届は市民に不安を残し、(同業他社の参入で)2億8千万円の減収になるという根拠に疑問があった」としつつ、「同じような問題を抱える自治体と連携して公共交通をどうするか模索、研究しなければならない」と述べた。

 6路線が該当した倉敷市の伊東香織市長は「国に対し、地方の状況を踏まえて公共交通を検討するようお願いする」と説明。8路線が対象だった玉野市の黒田晋市長は「公共交通の維持にしっかり対応せねばならない。安堵するだけでは未来につながらない」と表情を引き締めた。

 2路線が含まれていた瀬戸内市の武久顕也市長は「赤字の民間バス事業者は非常に多い。事業が成り立つにはどうすべきかを抜本的に考える必要がある」と指摘した。

 一方、国と関係4市、両備グループ2社で今月下旬に実務者レベルの検討会、4月には市長らによる協議会を設置する予定の県。伊原木隆太知事は「まずは県民の不安が解消され、安堵している。県の協議会でしっかり(対応を)検討する」とコメントした。

■利用者、将来の運行に不安

 両備グループのバス路線廃止届の取り下げ表明を受け、利用者は胸をなでおろしつつ、依然として将来の運行への不安を口にした。

 右足が不自由なパート女性(61)=倉敷市=は、通勤に利用する同市内の路線が廃止対象となっていた。取り下げの報を受け「本当に良かった」。1人暮らしのため、バスは“生命線”。「廃止届が出されてから、引っ越そうか、転職しようか、毎日悩み、不安でいっぱいだった。引き続き働いて自力で生活していける」と喜んだ。

 天満屋バスステーション(岡山市北区中山下)で廃止対象だったバスを待っていた女性(88)=同区=は「移動手段はバスかタクシー。取り下げは一安心だが、今後も存続できるのか不安」と話した。

 同じく廃止対象だった路線が走る玉野市の老人クラブ会長の男性(75)は「地域では高齢化が進み、交通弱者が増えている。バス事業者は生活の足を支えていることを改めて認識し、行政と連携して運行を継続させてほしい」と注文した。
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