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訪問介護の65歳打ち切りは違法 岡山市に取り消し命令、地裁判決

報告集会で両腕を上げて喜ぶ浅田さん(右)

 65歳を境に、障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)に基づく無償の訪問介護が打ち切られ、介護保険の利用で自己負担が生じたのは不当だとして、脳性まひ患者の浅田達雄さん(70)=岡山市中区=が同市の決定取り消しなどを求めた訴訟で、岡山地裁は14日、原告側の主張をほぼ認め、市に決定の取り消しと慰謝料など107万5千円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 支援法は65歳以上の障害者に介護保険の適用を優先する原則を規定しており、原告弁護団によると、この原則の違憲性を問う全国初の訴訟。判決は違憲性の判断にまで踏み込まず、利用者の実情に応じて柔軟に運用するよう自治体に求めた厚生労働省の過去の通知を追認した形となった。

 判決理由で横溝邦彦裁判長は、浅田さんが介助なしでは日常生活が送れない一方で、介護保険の適用に伴って月額1万5千円を自己負担するのは経済上難しい状況だったと指摘。「原告が自立支援法の給付継続を希望したことには理由があり、市はその決定をした上で、納得を得ながら介護保険に関係する申請を勧めたりすべきだった」とし、市の決定を「支援法の解釈・適用を誤った違法なもの」と結論付けた。

 判決では、1人暮らしの浅田さんは月249時間の訪問介護を無償で利用していたが、2013年2月、65歳になるのを理由に打ち切られた。同7月、市から支援法に基づく月153時間の給付を認められたが、残る96時間分の給付は介護保険で受けていた。

 原告弁護団の呉裕麻団長は「裁判所が浅田さんの声に耳を傾けてくれた。全国的にも意義のある判決だ」と評価し、岡山市の大森雅夫市長は「市の主張が認められなかった部分の対応は、関係者や弁護士と協議して検討したい」とのコメントを発表した。

■「生きる権利が保障された」 喜ぶ原告

 65歳を境に障害者自立支援法による無償の訪問介護を打ち切った岡山市の決定を違法とした岡山地裁の判決に、原告の浅田達雄さん(70)らは「生きる権利が保障された」などと語り、喜びをかみしめた。

 同地裁前で弁護士らが勝訴を伝える垂れ幕を掲げると、支援者から拍手と歓声が湧き起こった。

 岡山市内で開かれた報告会で、電動車いすの浅田さんは集まった約120人を前に「判決にほっとした。勝った、勝った」と両腕を目いっぱい突き上げた。弁護団の光成卓明弁護士(岡山弁護士会)は「声を上げられず諦めていた障害者の味方になる判断だ」と判決を評価した。

 同種の訴訟を起こしたり検討したりしている人も駆け付け、千葉地裁で係争中の天海正克さん(68)=千葉市=は「判決に励まされた。頑張りたい」。浅田さんは「障害者が安心して暮らせる社会の実現に向け、これからも全力で戦う」と誓った。

■一律には当てはめないよう通知 厚労省

 65歳に達した障害者を巡る障害者自立支援法と介護保険法の適用に関しては、厚生労働省が2007年3月、「障害者の心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様」として、介護保険優先を基本としつつも一律には当てはめないよう通知している。

 同省による14年8月の全国抽出調査(259自治体が回答)では、介護保険の要介護認定などを申請しないまま、65歳到達後も継続して支援法に基づく障害福祉サービスの利用申請があった場合、78自治体が同サービスの支給を決めた上で引き続き介護保険の申請を呼び掛けていた。同サービスの利用申請を却下したのは、6自治体のみだった。

 同省は15年2月にも、支援法のサービスを一律に打ち切ることがないよう通知。岡山市はこれまでに、個別事情を考慮して同サービスの利用を続けられるよう見直している。岡山地裁で14日に判決が出されたのと同種の訴訟は、千葉地裁でも係争中。
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