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多くの本が世に出る中、14年前…

 多くの本が世に出る中、14年前の新書が書店の目立つ場所に並んでいるのが目を引いた。テレビ番組でお笑いタレントに紹介され、再び注目されたという。作家眉村卓さんの「妻に捧げた1778話」である▼進行がんと診断された妻の悦子さんのため、眉村さんは毎日1話ずつ、ショートショート(超短編)を書いて読ませた。明るい気持ちで過ごし、よく笑えば、免疫力が増すと聞いたからだ▼悦子さんは5年間頑張って逝った。見送った後につづった最終回は「また一緒に暮らしましょう」。悲しくも、宝物のように凝縮した日々だったろう▼同様に伴侶を看病したり、先立たれたりする人は高齢化が進む中で増えている。夫婦は仲良く暮らすことが一番だと、妻が他界した今頃、悟る私は愚か者だ―。70代の男性が、そう先月の本紙ちまた面に投稿していた。寂しさを紛らすため、どの部屋にも写真を置き、語り掛けているという▼眉村さんも一時、喪失感からパチンコにのめり込んだこともある。今は「1日1話」を読み返すうちに気付いた「新しい世界」を書きつづっていると、文藝春秋4月号で記している▼回を重ねるごとに増えた私小説風のものと、本来の作風のSFのようなファンタジーを掛け合わせた小説だ。妻のために書いた物語から彼女の励ましが聞こえるのかもしれない。

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