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「隔離された分校」は、やはり遠…

 「隔離された分校」は、やはり遠い存在だったのだろう。本校に残されていた資料は閉校記念誌や事務文書の断片が段ボール1箱分だけだった▼瀬戸内市の国立ハンセン病療養所・長島愛生園にあった岡山県立邑久高校新良田(にいらだ)教室は、社会復帰を目指す若者のために全国の療養所で唯一設けられた高校である。1955年から32年間に397人が在籍したが、国の隔離政策の下で外部との交流は少なかった▼その存在を埋もれさせまいと、邑久高2年生たちが学習を始めたのは昨年春のこと。分校の元教諭や生徒にも話を聞き、先月、学校で成果を発表した▼隔離の厳しさは想像以上だった。試験の答案用紙を含め生徒の持ち物は全て消毒された。職員室への立ち入りも許されない。社会に出ても高校の名を口にできなかった。一方で、卒業生の約8割が進学や就職を果たしていることを知った▼国の隔離政策の過ちを認めた熊本地裁判決から17年。今の若者たちがハンセン病問題を考える機会は少ない。邑久高でも地元に療養所があることさえ知らない生徒は多い▼「私たちはこの歴史を学び、発信する必要がある」。発表会での生徒たちの訴えだ。これからも身近なテーマを扱う「地域学」の柱として1年生が引き継ぐという。逆境に屈しなかった分校の先輩たちの思いも受け継いでほしい。

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