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米軍ヘリ不時着 異常事態との認識を持て

 短期間にこれだけの事故やトラブルが相次ぐのは異常事態ではないのか。米軍が実効ある対策を取らなければ、危険にさらされる沖縄県民の不安は増すばかりである。

 8日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)所属の攻撃ヘリコプターが読谷村の廃棄物処分場に警告灯が点滅したため不時着した。6日には別のヘリがうるま市伊計島の砂浜に不時着したばかりだった。

 同飛行場に隣接する小学校の運動場に大型輸送ヘリから窓が落下し、体育の授業中だった児童らがあやうく難を逃れたのはわずか1カ月前のことだ。2016年12月には名護市沖の浅瀬に輸送機オスプレイが不時着し、大破した。昨年10月にも東村の牧草地で大型輸送ヘリが不時着、炎上している。

 小野寺五典防衛相は「多すぎる。沖縄の皆さんの心配は当然だ」と述べた。マティス米国防長官と電話会談し、再発防止と点検整備の徹底を申し入れ、マティス氏は謝罪したという。

 問題は、日本政府や沖縄県がこうした要求を繰り返しても、トラブルが一向に収まる気配のないことだ。

 その上、事故を起こした同型機の飛行を原因究明まで中止するよう沖縄県に求められながら、飛行は続行された。米軍が地元の要請を無視したに等しく、事態を重く見ていないことがうかがえる。

 小野寺防衛相とハワイで会談したハリス米太平洋軍司令官は、米軍ヘリが人口密集地にある基地に戻らず、砂浜などに不時着した対処について「満足している」と言明したという。

 だがそもそも、トラブルを起こさないような機体整備が第一のはずである。不時着場所から数百メートルには住宅やリゾートホテルもあった。司令官の発言はリスクと隣り合わせの地域住民への配慮を欠いていると言わざるを得ない。

 こうしたことが起こるのも、米軍機事故には日本の法律が適用されず、「日米地位協定」が壁になって問題点の改善を強く求めることができないためだ。翁長雄志沖縄県知事が「日本政府は当事者能力がない」と批判したのも当然だろう。不平等な地位協定は見直す必要がある。

 事故やトラブルの背景に、米軍の任務増加や人員不足を指摘する声もある。緊迫化する北朝鮮情勢も訓練強化に拍車をかけているという。

 しかし、県民の安全が二の次になってよいはずがない。軍の態勢や訓練の在り方も再考すべきではないか。

 窓が落下してきた小学校では、いまだに運動場が使えないという。米軍は学校上空は最大限飛ばないと表明したが、確約はしていない。

 政府は沖縄県の反対を押し切って、普天間飛行場の危険性除去のため名護市辺野古への移設工事を進めている。だが、全域でトラブルが頻発する現状では、移設への理解は到底得られまい。
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