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大阪大入試ミス 救済遅らせた緩慢な対応

 大阪大で昨年2月に行われた入試で、出題と採点にミスがあり、いったん不合格にした30人を追加合格とする異例の事態が起きた。受験生の将来を左右しかねない不手際であり、事後の対応もあまりにもお粗末だ。

 ミスがあったのは物理の問題で、正答が三つあったにもかかわらず、特定の解答だけを正答としていた。その解答を前提に出題された次の問題も不適切とした。物理が必須科目となっている工学部、理学部などの計3850人がこの問題に臨んでいた。

 正確さが何より求められる入試で、誤りがあったこと自体問題だが、それにも増して見過ごせないのが、2度にわたるミスの指摘を生かせなかった対応の甘さだ。

 最初の指摘は昨年6月、高校教員らでつくるグループのメンバーが行った。その際、問題作成責任者である理学部教授が副責任者と2人で検討した上で、問題なしと結論付けた。8月にも、理学部あてにメールで同様の指摘があったが再び同じ2人だけで判断し、訂正しなかった。

 その後、12月になって、数式を使って詳細に誤りを説明したメールが届いた。これを受けて別の教員4人を加えて対応した結果、ようやくミスに気付いたという。

 誤りを指摘した予備校講師によると、大学に指摘のメールを送った後、「誤りはない」との返信があり、より詳しく指摘した内容のメールを再度送信したが、それ以後連絡はなかったという。

 対応が遅きに失し、傷口を広げた格好だ。迅速に対処していれば、該当する受験生の秋入学に道が開けた可能性も指摘されている。大学は「問題を作成したのは物理が非常によくできるチーム。自信があだになった」と説明している。慢心があったと言われても仕方があるまい。

 大阪大は、別の大学に在学している場合は2年生への転入も考慮する。他の大学に入学した際の引っ越し費用や、浪人した人の予備校費用の補償、慰謝料なども検討するという。巻き込まれた若者たちがこれ以上の不利益を受けることのないよう、最大限配慮するのは当然だ。

 大切なのは、今回のミスを教訓として再発防止につなげることである。大阪大は、過ちの経緯や外部からの指摘に適切に応じられなかった原因を調べるための委員会を設置する。「出題検証委員会」も置く方針で、問題に疑義が生じた際、作成者以外とも情報を共有して検討するという。

 事態を重く見た文部科学省は、全国の国公私立大に対して、合否判定のミスを防ぐための策を実施するよう促し、ミスの可能性が明らかになった場合には適切な対応を求める通知を出した。

 あすから大学入試センター試験が始まり、入試シーズンに入る。各大学は気を引き締めて万全の態勢で臨み、厳正な実施に努めてもらいたい。

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