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南北会談 あくまで核放棄が目標だ

 果たして、肝心の北朝鮮による核・ミサイル開発の阻止への糸口になり得るのか。先行きは見通せないままだ。

 韓国と北朝鮮の閣僚級による「南北会談」が板門店で開かれた。約2年ぶり、韓国の文在寅(ムンジェイン)政権下では初めてだ。北朝鮮は2月に韓国で開催される平昌冬季五輪への参加を正式に表明するなど、融和ムードを演出してみせた。

 今回の会談は、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が「新年の辞」で、平昌五輪に代表団を派遣する用意があると発言したのがきっかけだった。文政権は歓迎の意を表して会談を呼び掛け、米韓合同軍事演習の延期などを評価した北朝鮮が応じて実現したものである。

 共同報道文によると会談では、平昌五輪・パラリンピック成功に向けて南北が積極的に協力し、北朝鮮が高官級代表団や選手団、応援団などを派遣することで合意した。韓国側は合同の入場行進や応援団結成を要請したという。

 このほか、両国の偶発的な衝突を避けるための軍当局間会談を開催する。南北関係の問題は、当事者が対話と交渉を通して解決することなども盛り込んだ。

 大統領就任以来、文氏は北朝鮮に平昌五輪への参加を呼び掛けたが、明確な回答がなかっただけに安堵(あんど)したことだろう。大会期間中に北朝鮮が挑発行動を自制し、「平和の祭典」が安全に運営されるのであれば、成果といえる。南北融和の動きは歓迎したい。

 だが、今後の行方は楽観できない。北朝鮮が南北会談に応じた狙いには、制裁圧力を強める日米韓の連携にくさびを打ち込み、さらには韓国から支援を引き出したい意図が色濃くうかがえるからだ。

 国際的な包囲網によって、北朝鮮が追い詰められている証しでもあろう。今回の会談では北朝鮮が五輪参加の“見返り”には触れなかったようだが、核保有を既成事実化しながら、南北融和を突破口にいずれ制裁緩和に持ち込む戦略を描いている節もある。

 核・ミサイル問題について会談では、韓国側による非核化の要求に対し、北朝鮮は「われわれが持つ原爆や水爆、大陸間弾道ミサイル(ICBM)は米国が標的だ」とし、韓国は相手にしないとの強い不快感を示した。あくまでも核保有国として、米国と対等の協議に臨むとの意思表示といえよう。

 日米が懸念するのが、韓国が前のめりになって人道支援などに傾き、制裁や包囲網にほころびを生じないかという点である。連携が乱れて北朝鮮にICBM開発などの時間稼ぎを許せば、非核化はさらに遠のいてしまう。

 北朝鮮のペースに乗らずに、核放棄に向けた対話にどう道筋をつけていくか慎重に見極めねばならない。北朝鮮は、これからもさまざまに揺さぶりをかけよう。文氏には状況や北朝鮮の真意を冷静に分析し、日米と連携して取り組みを強めるよう求めたい。

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