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教員働き方改革 「見える化」して対策急げ

 教員の働き方改革に向けた文部科学省の「緊急対策」が昨年末にまとまった。タイムカードの導入などで教員の勤務時間の客観的な把握を進め、勤務時間の上限についても今後、ガイドラインで示すという。

 教員の長時間労働はかねて指摘されながら改善されていない。文科省の調査ではタイムカードやパソコンなどで勤務時間を管理している小中学校は3割に満たない。まずは勤務時間を「見える化」していくことが、長時間労働是正の一歩だろう。

 日本の教員の過重労働は国際比較調査で明らかになっている。海外の公立校では教員の仕事は授業とその準備が中心なのに対し、日本では生活指導や部活動の指導、事務作業なども求められ、業務は肥大化している。文科省の調査では「過労死ライン」とされる月80時間超の時間外労働をする公立校の教員は小学校で3割、中学校で6割に上っている。

 教員の働き方改革をめぐっては、文科省の中央教育審議会(中教審)が昨年12月に「中間まとめ」を出しており、緊急対策はこれを受けたものだ。教員が業務を抱え込んでいることから、文科省は今後、教員が担うべき業務をモデル案として明確にする。時間外の問い合わせに留守番電話やメールで対応したり、夏休みなど長期休業期間には一定の学校閉庁日を設けたりするよう学校に促すとした。

 特に負担が大きいとされる部活動に関しては、外部人材の積極的な活用や複数校による合同チームづくりなどを挙げた。外部人材が教員に代わって顧問を務めたり、大会へ引率したりできる「部活動指導員」制度が昨年4月からできており、2018年度予算案には4500人を配置する経費を盛り込んだ。

 負担軽減に向け、できることから着手してもらいたい。ただ、これだけで長時間労働の是正が進むかといえば疑問も残る。

 「過労死」した教員の遺族らは教職員給与特別措置法の見直しを求めている。本給に4%を上乗せする代わりに残業代を支払わない制度で、長時間労働を助長しているとの指摘がある。1972年の法施行時に比べ、時間外勤務が格段に増えている。見直しに向けた議論を進めるべきではないか。

 部活動の負担軽減は、これまでも休養日を設ける動きなどはあったが、「保護者や地域の期待が大きく休めない」という教員側の声もある。保護者や地域に教員の勤務の実態を正確に伝え、社会全体で考える機運を高めていく必要があろう。

 2020年度以降の新たな学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が求められ、小学校で英語が教科になる。教員が疲弊していては教育の質向上は望めず、教員を目指す人材確保も難しくなる。働き方改革を急ぎたい。

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