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幻の野外音楽堂でコンサートを 丹下健三氏設計の倉敷市立美術館

倉敷市立美術館の屋上にある音楽堂内部。ステージにびょうぶ形の反響板が設置されている

音楽堂の特徴的な外観。壁面には正方形や長方形の窓がある

 倉敷市立美術館(同市中央)の屋上にあり、開館以来一度も使われたことがないという“幻の野外音楽堂”で17日、コンサートが開かれる。同美術館は世界的な建築家・丹下健三氏(1913~2005年)の設計。屋上も趣向が凝らされており、関係者は「知られざる地域資源にスポットが当たるきっかけになれば」と期待する。

 市立美術館は丹下氏の初期作品の一つで、高さ約25メートル。1960年に市庁舎として建てられ、83年に美術館となった。

 野外音楽堂は建物の上部を斜めに切り取ったような外観。内部には、びょうぶ形の反響板が設置されたステージ、客席とみられる段差がある。屋根はなく、段差の上部からは倉敷の町並みを見渡せる。

 屋上には当初、転落を防ぐための手すりや、市民が憩えるテーブルと椅子も設置されていたが、82年の改修工事で全て撤去。安全性への配慮などから、現在は原則立ち入り禁止になっている。音楽堂も「理由は分からないが、公式には一度も使われていない」(市企画経営室)という。

 市は美術館の歩みに思いをはせてもらおうと、旧倉敷、児島、玉島の3市合併50周年記念事業としてコンサートを企画した。当日は、くらしき作陽大(同市玉島長尾)の卒業生が演奏し、市が主催した絵画コンクールの入賞者ら約50人が鑑賞する。

 市立美術館で丹下建築の解説イベントを企画した経験のある1級建築士、稲垣年彦さん(47)は「丹下氏は市民に屋上で楽しんでもらおうと設計したはず。本来の使われ方という点で、コンサート開催は意義がある」と指摘する。

 コンサートは1回限り。継続的な活用について、市企画経営室は「屋上の施設を改修しない限り難しい」とする。市立美術館には国内外から建築家らのグループが年10組程度は訪問。その際、特別に屋上の立ち入りも許可しており、前野嘉之・学芸員主幹(59)は「音楽堂の壁や窓にも丹下氏の意匠が施され、見学者の満足度は高い。コンサート開催を通じ、郷土にある名建築の価値が改めて世に広まれば」と話す。

 丹下健三氏(たんげ・けんぞう) 東京都庁舎、国立屋内総合競技場(東京)などを手掛け、世界的な建築家として活躍した。県内で設計したのは旧倉敷市庁舎(現・市立美術館)のみ。1980年に文化勲章を受章し、87年には「建築界のノーベル賞」と呼ばれる米プリツカー賞を受けた。大阪府出身。
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