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1935年から37年にかけ、全…

 1935年から37年にかけ、全16巻の「日本少国民文庫」が刊行された。作家の山本有三らが編さんした児童向け教養書だ。当時と言えば、36年に二・二六事件、翌年に盧溝橋事件が起きている。軍国主義が勢いを増し、言論の自由なども抑圧された時代だった▼ヒューマニズムを貫き、自由で豊かな文化を子どもたちに伝えようとするシリーズは異色だったろう。皇后陛下の美智子さまも疎開中に読まれ、「世界名作選」など3冊の文庫を思い出深い本として挙げている▼その最終配本「君たちはどう生きるか」を書いたのが編集主任だった吉野源三郎だ。古典として80年読み継がれた同書が再び脚光を浴びている。8月に出た漫画版と原作の新装版が計100万部に達したそうだ▼物語は中学生のコペル君と近所に住む叔父さんの交流である。学校での体験や大切な友達への裏切りなど思春期にありがちな出来事を通し、主人公が「人生をどう生きるか」を見つけていく▼中で叔父さんが繰り返し諭すのは「自分でものを考えることの大切さ」。それは荒れ狂うファシズムや、大人のご都合主義への静かな批判でもあったろう▼衰えぬ支持を漫画などの出版元は「将来に漠然とした不安がある今、人々の心に響いたのでは」という。吉野も山本も、悩みながら道を探す若者に目を細めていよう。

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