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「日本資本主義の父」と呼ばれる…

 「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一は、生涯に500以上の民間企業設立に関わる一方で、わが国の先駆けとなる社会福祉事業にも力を注いだ。明治維新後の社会にあふれる困窮民や孤児、老人、障害者を救済する東京養育院の運営もその一つだった▼経済はカネより人間のためにあるという強い信念があったのだろう。道徳と経済の合一、倫理と利益の両立を唱え「右手に論語、左手に算盤(そろばん)」との言葉を残している▼こちらの経営者の右手には何が握られていたのか。障害者が働く「就労継続支援A型」と呼ばれるタイプの事業所で大量解雇問題が相次いでいる。今夏の倉敷市、愛知県などに続いて先日は福山市と府中市でも100人を超える利用者が突然、行き場を失った▼2006年に登場して以来、福祉サービスと安定雇用を図るビジネスモデルの融合を目指して急増した。だが給料さえ賄えぬまま国の手厚い公金を当てにした悪質な「補助金ビジネス」も増えているという▼営利優先の企業・法人の参入を安易に許す制度や運用になってはいないか。所管する自治体の監視体制は万全か。仕組み全体の問題点を洗い出す必要がある▼この1世紀余りで日本の福祉のかたちは大きく変わった。だが、その中身はどうか。時代を超えて渋沢翁の精神を現代に生かす手だてが問われている。

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