文字

農作業楽々 パワーアシストスーツ ニッカリが3年半かけ実用化

ニッカリがレンタルを始めたパワーアシストスーツ。延べ約500人の農家の意見を取り入れ、和歌山大と実用化した

 腰の後ろに装着したウエストバッグ状の物体。左右の内蔵モーターが、上半身や太もものベルトを間接的に引っ張り、荷物の上げ下げや歩行、中腰姿勢といった動作を補助する。

 農業機械メーカーのニッカリ(岡山市東区西大寺川口)が今秋、レンタル事業を始めた「パワーアシストスーツ」。2014年から和歌山大と共同研究し、全国13県の農家での実証試験を経て実用化にこぎ着けた。

 高齢化や担い手不足に直面している日本の農業。パワーアシストスーツは、重い収穫物の運搬や中腰姿勢の多い農家のサポートにつながり「当社の理念である農作業の負担軽減に貢献できる」と杉本宏社長。

 29日に東京で開幕する世界最大級の「国際ロボット展」に出品する。活躍の舞台は農業にとどまらず、人手不足が深刻なものづくりや物流の現場にも広がりそうだ。

着やすさ軽さ追求

 農業機械メーカーのニッカリが和歌山大と共同開発した「パワーアシストスーツ」は、延べ約500人の農家の意見を反映させた商品だ。着やすさと軽さを追求して改良を重ね、3年半かけて実用化した。

 スーツは、腰の左右に電動モーターを搭載した本体部、モーターの動力を体に伝えるアルミ製と樹脂製のフレームなどで構成。着た人の体勢や振動をセンサーが検知し、動作を特定。動きに合わせてタイミング良く補助する。荷物を持ち上げる場合、最大13キロ分の負担を軽減でき、フル充電で約8時間稼働できる。

 農林水産省の委託研究プロジェクトに採択され、2014年から約1億1600万円の補助金を受けた。実証試験では試作機100台を製造。岡山県内をはじめ全国の農家に配り、アシストの効果や使いやすさを調べた。

 使用した農家からは「作業の負担は軽くなった」と評価された一方、「重たい」「着脱が面倒」といった声も上がった。試作機は手袋や靴の中敷きでモーターのスイッチを入れる方式だったが、利用者の指摘を踏まえ、手袋などをなくしてセンサーで自動的に起動する方式に変更。重さも6・8キロ(バッテリー含む)と約1キロ軽量化した。

 民間調査会社の富士経済(東京)によると、パワーアシストスーツの市場規模は16年で約31億円。今後、介護やリハビリ用途などの需要が膨らみ、25年には160億円程度に拡大する見通し。

 ニッカリは当面、レンタルで事業展開し、農家だけでなく、自動車や重工メーカー、物流業者など業種を限定せずに貸し出す計画。レンタル料は企業戦略上、非公表だが、杉本宏社長は「防水、防じん機能も備えており、作業環境の制約がない。幅広い産業で生産性向上に役立ててほしい」と話す。

 ニッカリは日本刈取機工業として1959年に設立。刈り払い機などの園芸機器や国内シェアトップの作業用モノレールが主力。資本金4800万円、売上高約49億円(17年5月期)、従業員約130人。
カテゴリ:

【地方経済】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.