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明治から昭和にかけ、鈴木商店と…

 明治から昭和にかけ、鈴木商店という巨大商社が神戸にあった。金融恐慌で破綻したが、第1次大戦で欧州各国に鉄や石炭、小麦粉を売り、一時はスエズ運河を通る船の1割が鈴木商店絡みと言われたほどだ▼その経営を担った大番頭、金子直吉を描いた城山三郎さんの「鼠(ねずみ)」という小説がある。物資の売り買いに才能を発揮し、小さな個人商店を20年余りで世界的大企業に育てた▼「煙突男」との異名もあった。貿易の利益で工場を次々と建て、煙突を増やした。砂糖、レーヨン、金属、船など何十もの子会社を作った▼城山さんによると、金子には大望があった。多くの人材を輩出した土佐に生まれ、政治家にあこがれたが、学がないために断念した。10歳からでっち奉公に入った商売の世界で産業を育て、国に貢献する夢を描いていた▼帝人、日本製粉など鈴木商店に由来する企業は少なくない。アルミや銅製品の性能データを改ざんしていた神戸製鋼所もその一つである。組織ぐるみで10年前から不正を続けていたというから驚く。経営トップはきのう、公の場に姿を見せ、反省を口にした▼製品は新幹線や車に使われていた。自社だけではなく、メード・イン・ジャパンへの信頼も損ないかねない。金子の口癖は「生産ほど尊いものはない」だった。その言葉を受け継いでいなかったのか。

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