文字

米国の乱射事件 銃規制強化で悲劇止めよ

 米国でまたも銃による痛ましい事件が起きた。ネバダ州ラスベガスの野外コンサートの会場に向け、近くのホテルの32階から銃弾が撃ち込まれた。10分前後も続いた銃撃により、58人が亡くなり、約500人が負傷した。米国史上最悪の銃乱射事件となった。

 容疑者はネバダ州に住む64歳の男で、警察がホテルの部屋に踏み込んだ時には自殺していた。部屋から自動小銃など23丁と大量の銃弾が押収された。銃の一部は殺傷力を高めるよう改造しており、狙いを定めやすくする三脚も持ち込んでいた。自宅からも多くの銃器が見つかり、周到に犯行準備を重ねていたことがうかがえる。

 過激派組織「イスラム国」(IS)は、容疑者を「ISの兵士」であると声明を発表したが、米当局は懐疑的な見方を示している。犯行は単独で実行されたとみられるが、テロなのか感情にまかせた犯罪なのか現時点では分かっていない。動機や組織的背景の有無など全容の徹底解明が求められよう。

 米国では、銃器による悲劇が繰り返されてきた。昨年も6月にフロリダ州のナイトクラブで自動小銃が乱射され、49人が亡くなった。2012年にはコネティカット州の小学校で子どもを含む26人が犠牲になっている。

 トランプ大統領は今回の事件を受け、犠牲者や家族に哀悼の意を示した。4日にはラスベガスを訪問し、負傷者らを慰問した。銃規制強化に関する発言が注目されたが、「きょうは話さない」と述べるにとどまった。銃規制に具体的な言及を避ける消極姿勢が目立っている。

 トランプ氏はかねて、国民に武装の権利を認める憲法の条文を擁護する考えを示してきた。大統領選で有力ロビー団体である全米ライフル協会の支援を受けており、今年4月の会合に出席し、銃規制強化よりもむしろ緩和に意欲を示していた。

 米国には、西部開拓の時代以来の「自分の身は自分で守る」という意識があり、銃の所有に寛容な風土が根付いている。誰でも簡単な手続きで銃を購入でき、多くの銃が出回っている。犯罪に使われるだけでなく家庭内で子どもが暴発させる事故なども頻発し、銃によって失われる人命は年間3万人にも上る。

 先進国の中で、これほど銃器が身近な国は他に見当たらない。これまでも乱射事件が起きるたびに規制を強化する必要性が叫ばれてきた。オバマ前政権などにより抜本的な法規制の導入が試みられたこともあったが、共和党や保守派ロビー団体の強い抵抗を受け、規制強化が何度も見送られている。

 市民が銃を手に入れやすい社会は、犯罪者やテロリストの格好の温床ともなりうる社会である。これ以上悲劇を繰り返さぬため、米国は今度こそ、銃規制を真剣に考える必要があろう。

【社説】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.