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柏崎刈羽原発 「合格」でも不安は拭えぬ

 東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査で、原子力規制委員会は事実上の「合格」とした。福島第1原発事故を起こした東電の原発としては初めてであり、福島と同じ沸騰水型炉の再稼働に道を開くのも初となる。

 審査で焦点となったのは、重大事故を起こした東電が再び原発を動かすに当たっての、事業者としての「適格性」だった。だが、議論が十分に尽くされたとは言えない。「合格」はいかにも結論を急いだようで、多くの国民が不安を拭えないだろう。

 東電が再稼働を申請したのは4年前だった。原発事故時の対策拠点となる免震重要棟の耐震性不足を、東電が把握しながら規制委に誤った説明を続けるなど、問題が続いたために審査が滞っていた。

 東電の組織体質は変わっていないのではないかとの懸念から、施設や設備の審査をほぼ終えた段階で議論されたのが「適格性」である。しかし、規制委の審査は重大事故への対策が対象で、適格性に関する明確な基準はないことから審査は迷走した。

 当初は規制委も厳しい姿勢を見せたが、東電が「経済性より安全性を優先する」などと文書で決意を表明すると、容認姿勢に転じた。文書に具体策がない上、田中俊一前委員長の退任間際だったことから、「結論ありき」との批判が高まった。

 結局、東電が示した「決意」を原発の保安規定に盛り込むことなどを条件に「合格」が認められた。保安規定に違反すれば、原発の運転停止などを求めることができる。ただ、あいまいな努力目標の違反認定は難しく、どこまで効果があるかは疑問だ。

 田中氏の後を継いだ更田豊志委員長は「事故の責任と技術力は別」と釈明するが、規制委がいまの東電にお墨付きを与えるのであれば、判断の根拠を丁寧に国民に示す必要がある。

 福島の原発事故で原子力利用の推進側と規制側の癒着構造が明らかになり、その反省から発足したのが規制委である。発足から5年が過ぎた。原子力規制行政への国民の視線は厳しく、今回の審査で不信感を募らせた国民は少なくないだろう。信頼回復のためには組織の独立性、透明性が大切なのは言うまでもない。

 事実上の「合格」とはいえ、立地県の新潟県の米山隆一知事は再稼働に慎重な立場で、先行きは見通せない。新潟県は独自に福島の事故原因などの検証を進めており、3~4年かかるとの見通しを示している。

 安倍政権は規制委の審査に合格した原発の再稼働を推進し、将来も一定規模の原発を維持する方針だ。しかし、さまざまな世論調査でも原発の再稼働には否定的な意見が多い。主要な野党は早期の原発ゼロを訴えており、衆院選でも大きな争点の一つになりそうだ。

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