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日産無資格検査 「安全」の足元を見直せ

 日産自動車は出荷前の新車で国の規定に違反する無資格検査が見つかったのを受け、過去3年間に国内で製造され、まだ車検を受けていない約121万台を対象にした大規模なリコール(無料の回収・修理)を発表した。

 日産はフランス大手ルノーとのグループの世界販売台数が今年上半期、初の首位に躍進したばかりだ。電気自動車(EV)や自動運転といった先進分野に積極的に取り組む「技術の日産」のイメージと業績向上の勢いを揺るがせる事態である。

 完成車は出荷前にエンジンやブレーキの作動など多くの項目を検査する必要がある。この最終検査を、本来はその前の工程の検査に仕事が限られる「補助検査員」が担っていた。

 安全性に関わる重大な問題である。どんな不備があったのか、経緯を徹底的に調査して、結果を詳しく公表しなければ消費者の信頼は回復できまい。

 無資格検査は、国内に六つある全ての完成車工場で行われていた。おととい記者会見した西川広人社長は無資格検査が常態になっていたと説明し、「認定した作業員が検査をするという認識が十分ではなかった」と反省を口にした。先進技術を支える足元のずさんさは批判を免れない。

 日産は第三者チームに調査を依頼し、事実関係と再発防止策を今月末までに国土交通省に報告する。西川社長は拡大路線やコストカットが原因との見方を否定したが、人手不足を補うため組織的関与があったかどうかが焦点だ。

 会社側の聞き取り調査では、正規に認定されていない補助検査員らは自ら資格があると思い込んで業務に関わっていたと答えている。甘い管理を早急に見直すべきだ。

 自動車業界では近年、顧客の信頼を裏切る事態が続いている。欠陥エアバッグ問題で大手部品メーカーのタカタが今年6月に経営破綻したばかりである。三菱自動車でも燃費を実際より良く見せかける不正が昨年発覚して、経営が行き詰まりかねない状況となり、日産の出資を仰ぎグループ入りした。日産はその模範となるべき立場だった。

 トヨタ自動車も米国などを中心に2009~10年の大量リコール問題で批判にさらされ、経営の屋台骨が揺らいだ。ホンダも主力車でリコールが相次ぎ、14年に当時の社長が報酬を一部返上する事態に追い込まれた。

 消費者の車離れが指摘され、自動車の国内販売の減少傾向が続いている中での失態である。業界全体として今回の日産の事例を他山の石とすべきだろう。

 無資格検査は国交省の立ち入り検査で見つかった。同省が日産に業務体制の改善を指示するとともに、他のメーカーにも不備がないか確認を求めたのは当然である。各社は実態を早急に洗い出してもらいたい。

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