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再就職 夫の理解を得るには

「もう一度仕事を始めたい」。夫の理解を得るには、真摯に向き合って話し合うことが大事です

 「子どもが少し大きくなったから、仕事をもう一度始めたい」。そんな女性は少なくはないのでは。もちろん、家計の足しにするためという動機ももちろんですが、自分の力をもう一度試してみたいという女性もたくさんいます。

 B子さんは、大学を卒業して、企業の研究員として就職。その後大学教員の夫と結婚、数年の海外生活を経て、久しぶりに日本に戻ってきました。二人の子どもも少し大きくなり、もう一度研究に携わる仕事がしてみたいと思うようになったので、夫に相談しました。ところが、夫からは「僕の稼ぎが悪いということなの?」「今の生活で不満なの?」という答えが返ってきました。彼女は、自分の可能性を試してみたいという気持ちを理解してもらえなかったことがあまりにショックで、この件を境に夫婦に大きな溝が生まれたといいます。そんな状況で相談室を訪れました。

 B子さんのように、働きたいというと、自分に対する不満だと感じたり、働くにしても、子どもの世話も、食事も従来どおり妻の担当で、更には自分に迷惑をかけないという条件を夫から付けられる女性もいらっしゃいます。

 専業主婦だった女性が働くとき、仕事と家庭を両立し続けようとするとき、キャリアアップを図ろうとするとき、いくつかのハードルがあるようです。前回ご紹介した自分自身のこうあるべきという幻も一つですし、一般的に言われている保育所や学童施設のような施設もそうです。ただ私の立場からみると、「パートナーの心理的な理解」も大きな要因であるように感じています。B子さんのように、「家にいてほしい」という男性たちや、「働いてもいいけど、自分にしわ寄せがくるようなのはちょっと…」と思う人たちもいる中で、働きたいという気持ちをどう伝えれば理解してもらえるのでしょうか。

 ただ、もしかしてこの問題は、夫がある日突然妻に「専業主夫になってパート勤務をしながら家事と育児したいんだけど…」と話すのと同じくらいの衝撃かもしれないので、そう簡単に理解してもらえないのは、ある種当然かもしれません。

 B子さんとの相談を通して、何で仕事をしたいのか、自分にとってその仕事を目指す意味を考えると同時に、夫にどうやって伝えたらいいのかについても一緒に考えました。最終的には夫は理解を示し、今は彼女が望む仕事に就くことができました。

 魔法のように解決できたらいいのですが、そんなことはできそうにありません。ただ、いえそうなのは、お互いに真摯(しんし)に向き合って話をすることしかないように思います。

 恥ずかしいし、めんどくさい、でも、大体そういうことが大事なことなのではないでしょうか。

 ◇

 小畑千晴(おばた・ちはる)徳島文理大学心理学科准教授。臨床心理士。武庫川女子大学大学院修了後、岡山大学男女共同参画室助教。ドメスティックバイオレンス、摂食障害、女性の両立問題などをテーマに研究を行う。勤務先が徳島のため、岡山市在住の家族とは週末生活を送る。1973年岐阜県生まれ。
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