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北朝鮮への制裁 国際社会は確実な履行を

 核実験を強行した北朝鮮に対し、国連の安全保障理事会が新たな制裁決議を全会一致で採択した。焦点となっていた石油の全面禁輸などの強力な措置は見送られたが、安保理決議としては初めて、石油の規制にまで踏み込んだ。

 今月3日の核実験から1週間余りという異例の速さで採択にこぎ着けた。制裁に慎重な中国、ロシアも賛同し、「核・ミサイル開発は許さない」という国際社会の結束した姿勢を示せたことは評価できよう。北朝鮮に政策転換を促していく一歩にしなければならない。

 新たな制裁決議に北朝鮮が反発し、弾道ミサイル発射などの挑発行動に出る可能性もあり、予断を許さない。

 決議を主導した米国のヘイリー国連大使は安保理で「私たちは戦争を求めてはいない。北朝鮮は後戻りできない段階には達していない」との認識を示した。「核開発を停止することに同意するなら国の未来を取り戻すことができる。一方で危険な道を進み続けるのなら、さらなる圧力をかけ続ける。選ぶのは北朝鮮だ」とも述べ、北朝鮮に核・ミサイル開発を断念するよう呼び掛けた。

 米国は当初、石油の全面禁輸を主張したが、厳しすぎるとして難色を示す中ロに譲歩した。決議では北朝鮮への原油や石油精製品の輸出に上限を設けることとし、これにより原油・石油精製品を3割減らす効果があるという。代替エネルギーとなり得る天然ガス液(天然ガソリン)なども北朝鮮への輸出を禁止した。

 さらに、北朝鮮の繊維製品輸出を禁じ、北朝鮮から海外へ出稼ぎに行く労働者に国連加盟国が新たに就労許可を与えることも禁じた。これらは北朝鮮にとって数少ない外貨獲得源となっており、繊維製品が輸出禁止となれば、北朝鮮は年間約7億6千万ドル(約831億円)の減収となるという。海外で働く北朝鮮人労働者は約9万3千人と推計されている。現在の雇用契約が終われば更新できなくなる。

 8月に採択された安保理の制裁決議では、北朝鮮の主要な外貨収入源の石炭や海産物の輸出を全面禁止した。今回の決議は制裁範囲を広げ、北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射をした際には「さらなる重大な措置を取る」との決意も示している。

 国際的な包囲網によって北朝鮮の政策を変えさせるには、各国が緊密に連携し、決議を確実に履行していかなければならない。鍵を握るのは中国、ロシアである。中ロは長年、北朝鮮に石油などの物資を供給してきた。北朝鮮が国際社会の非難を浴びながらも挑発的な行為を繰り返すのも後ろ盾があるからで、北朝鮮と中ロの間には貿易統計に載らない闇ルートもあると指摘される。

 抜け道があれば経済制裁の効果は上がらない。制裁がきちんと履行されるよう両国は責任を果たすべきだ。

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