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概算要求 有効に生かす絞り込みを

 厳しい財政状況の中にあっても、膨張傾向に歯止めが掛かりそうにない。

 国の2018年度予算の概算要求は一般会計総額で100兆9586億円と、4年連続の100兆円超えとなった。財務省は年末の予算案策定に向け、査定で3兆円程度の圧縮を目指す。政策の必要性や効果などを厳しく見極め、めりはりの利いた予算にするよう求めたい。

 省庁別で最も要求額が多かったのは、厚生労働省の31兆4298億円。高齢化の進行に伴う自然増などで、社会保障費が膨らんだ。緊迫化する北朝鮮情勢などへの対応を担う防衛省も、改良型迎撃ミサイルの取得費など5兆2551億円と過去最大の要求額を示した。

 総額は17年度をやや下回ったが、省庁が要求を絞り込んだわけではない。超低金利を反映し、国債の利払い費を積算する際の想定金利を低く見込んだためだ。借金返済費用を除き、具体的な政策に使われる政策経費は過去最大の77兆円となった。

 国と地方の債務残高は1千兆円を超え、国内総生産(GDP)比では先進国の中で最悪の状況にある。政府は、円安などを背景に業績が好調な企業からの法人税収などを活用して財政健全化の取り組みを進めてきた。しかし、16年度は国の税収が7年ぶりに前の年度を下回り、55兆5千億円にとどまった。

 今後の税収についても大幅な伸びは期待しにくい。歳出抑制の重要性が一段と増しているだけに、財政事情への危機感があまりに薄いと言わざるを得ない。

 今回目につくのが、人材育成で経済成長を目指す「人づくり革命」など安倍政権が掲げる看板政策を盾に取った省庁の強気な要求ぶりだ。拍車を掛けているのが、約4兆円の「特別枠」である。

 政権が重視する施策に関連する事業を優先的に認め、予算配分にめりはりを付けるのが特別枠の意義だ。しかし、既存事業の焼き直しなども多く、要求が膨らんだ。「抜け道」を許さない特別枠の厳格化や、制度の再考なども必要となろう。

 焦点の一つである幼児教育の無償化は、金額を示さずに項目だけを要求する「事項要求」になった。財源には「こども保険」の創設案なども浮上しているが、与党内には国債での実施を求める声も根強くあるという。容易に借金を増やさぬよう十分に吟味すべきだ。

 安倍政権の国際公約であるプライマリーバランス(基礎的財政収支)の20年度黒字化の達成は厳しい状況である。18年度に中間評価が予定されており、今回の予算編成においてもしっかりと財政規律を保たねばならない。

 政府は、貴重な税金を有効に生かすよう、“聖域なき絞り込み”に挑まなければならない。歳出改革への覚悟が問われている。

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