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(17)大佐の風とパラグライダー(新見市大佐小阪部など) 絶景楽しみ空中散歩

大佐山の大日高原で繰り広げられるパラグライダーの体験会。眼下に大佐のまちが広がる

松下昌平さん

 赤、オレンジ、黄色…。パラグライダーのカラフルなパラシュートが、新見市北東部の大佐山(988メートル)上空を舞う。

 大佐山は西日本有数のフライトスポットとして知られ、休日を中心に愛好者たちが山頂付近から飛び立つ姿が見られる。ひとしきり空中散歩を楽しむと、それぞれに中腹の大日(だいにち)高原に降り立つ。

 「上達すれば、大山や日本海に面した弓ケ浜半島の眺望も楽しめるようになる。絶景ですよ」。パラグライダー場の管理運営会社「おおさネイチャークラブ」のインストラクター雪上淳司さん(62)=同市大佐小阪部=が白い歯を見せる。

 大日高原では初心者向けの体験会も開かれる。初めて参加した川崎医療短大3年西岡彩さん(20)は「気が付くと足が宙に浮いていた。鳥になったかと思った」と興奮気味に話す。

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 吹き上げてくる風を受けながら、同社の代表を務める松下昌平さんが「大佐山はどの山脈にも属さない独立峰なんです」と説明する。近くに高い山が少ないため、東麓一帯の大佐町地区で暖められた空気が山に向かって吹き、上昇気流も分散しにくいのだという。

 風に気付いたのは約40年前。ハンググライダーの飛行場所を探していた広島の青年たちが、1978年に町を訪れたのがきっかけだった。「いい風が吹いてそうだから飛ばせてくれって」。旧大佐町長の梅田和男さん(66)=同市大佐小阪部=が振り返る。

 当時、町職員だった梅田さんは、それをヒントに町が進めた「風」をテーマにしたまちおこしに関わった。そして91年、大日高原にあった県和牛試験場(現県総合畜産センター、美咲町)の移転を機に大きく動きだした。

 94ヘクタールに及ぶ牧草地の活用策として、町は「風の聖域(サンクチュアリ)」構想を打ち立て、同年にパラグライダー場と第三セクターによるパラグライダースクールを開設。その後、オートキャンプ場やトレッキングコースなども整備した。

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 今や大佐山は備中地域の代表的なリゾートエリアとなり、おおさネイチャークラブが一帯のアウトドア事業を担う。

 その会社を2008年3月からトップとして率いる松下さんは、パラグライダーに引かれ、27歳で当時の三セク会社で働くようになった。ただ、パラグライダー事業はかつてほどの勢いはなく、天候にも左右されるため、会社は経営が見直されるなど曲折を経て民営化され、今に至る。

 それでも事業を続ける思いを松下さんは「空を飛ぶのは人間のロマン。動力に頼らず、自然と一体になる感覚はなかなか味わえない。それを多くの人に伝えたくて」と打ち明ける。

 パラグライダーのシーズンは3~11月。関西や県南を中心に延べ約1500人が訪れるという。「地域の人たちと協力してもっと強い“上昇気流”を生みだし、大佐の魅力を少しでも遠くに届けたい」と松下さん。言葉に力を込め前を向いた。

【推薦者】

おおさネイチャークラブ社長 松下昌平さん(45)=真庭市下方

 真庭で育った私にとって遊び場はいつも自然の中だったが、大佐山周辺にも川、ダム湖、洞窟などがあり、遊べる場所は豊富だ。大日高原からの景色は古里よりも緑が深く感じられる。そこで楽しめるパラグライダーは最高で、見るも良し、やるも良しだ。大佐は儒学者山田方谷の終焉(しゅうえん)の地であり、ゆかりの施設も見てほしい。

【メモ】

 大佐山大日高原は、中国自動車道大佐インターチェンジから車で約15分、JR刑部駅からは北西に約1.4キロ。パラグライダー体験会や大佐山オートキャンプ場などはおおさネイチャークラブ(0867(98)3400)が運営。高原内には別の事業者が運営する新見市の温浴施設もある。いずれも季節によって休業日・期間や営業時間が異なる。

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