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障害者の事業所 雇用と居場所守る支援を

 雇用だけではなく、居場所としての役割にも注目したい。「(スタッフに)話を聴いていただき、悩みを解決できた」。岡山市の30代男性は、障害者の事業所について、自費出版した手記にそう記す。

 対人関係が難しく、高校卒業後は自宅にひきこもったりアルバイトを転々としたりした。発達障害と診断された後、市内の事業所で働き始め、生活が安定したという。

 こうした場をどう守るかが問われる。事業所が廃業し、障害者を大量に解雇するケースが相次いでいる。7月に同じグループが運営する倉敷、高松市の計7事業所で約280人が失業した。名古屋市などでも同様の事態が起きた。

 問題となっているのは、障害福祉サービスの一つ「就労継続支援A型事業所」だ。障害者と雇用契約を結び最低賃金以上を払った上で、軽作業などの職業訓練をする。近年急増し、全国に約3600カ所ある。特に岡山県内は160カ所余に上り、人口比で熊本県に次ぎ2番目に多いという。3千人以上が通う。

 事業所には国から福祉サービスの給付金として利用者1人当たり1日5千円前後が払われる。3年で1人最大240万円の障害者雇用の助成金も受け取れる。雇用契約を結ばないB型事業所もあるが、助成金の対象外だ。

 このため、A型に助成金などを目当てに企業が参入し、一部で質の低いサービスが問題視されてきた。厚生労働省は今年4月、給付金を賃金に充てるのを改めて禁止し健全化を促した。助成金の支給要件も厳しくし、相次ぐ廃業につながった可能性がある。

 一方的に解雇された人の憤りは当然だ。障害者総合支援法は廃止する事業所に、利用者が継続してサービスを受けられるよう便宜を求めているが、倉敷市の5事業所を解雇された約220人のうち、多くの人は再就職が決まっていない。事業所の責任が問われるとともに、事業申請時や開始後の自治体のチェックはどうだったのか。検証が必要だろう。

 多くの事業所は適切な運営に努めている。民間企業は従業員の2・0%以上の障害者を雇う義務があるが、この法定雇用率を達成した企業は岡山県内の場合で半数余にすぎない。そうした中でA型事業所が一定の受け皿となってきたことも確かだ。

 健全な事業所を育てるための課題は最低賃金を払える仕事をどう確保するかである。事業所の自助努力は当然として、自治体の支援も検討すべきだ。県内にはB型事業所を中心に仕事を仲介するNPO法人があるが、こうした工夫を広げれば、企業なども仕事を依頼しやすくなろう。

 国はA型事業所を含む障害福祉の報酬について来年4月の改定を検討中だ。同じ時期に企業の法定雇用率も2・2%に引き上げる。これを機に障害者雇用の拡大につなげていくことが求められる。

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