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公文書管理 知る権利支える見直しを

 各省庁が管理する公文書の保存、公開の在り方について政府が見直しを進めている。ただ、これまでの政府の消極的な対応を見ていると、保存・公開の範囲を狭める方向で進むのではないかとの懸念を抱かざるを得ない。

 学校法人「森友学園」「加計学園」問題などで公文書管理の在り方が問われたのを受け、政府は各省庁に、関係書類を行政文書として保存する可否を判断する責任者を置くことを検討しているという。

 見直し案では、課長級を中心とした責任者が内容を確認して行政文書にするかどうかを見極め、複数の省庁にまたがる場合、文書の記載に矛盾がないかを調整する。加計問題で文書の記述を巡り、文部科学省と内閣府の主張が対立した経緯を踏まえたようだ。

 ただ、責任者を明確にするといっても身内であり、保存や廃棄の判断が妥当だったかどうかの検証は難しい。むしろ、都合の悪い文書は調整した上で個人メモとされ、保存や公開の対象とならなくなる可能性が高まる恐れがある。

 2011年施行の公文書管理法で行政文書は「職員が職務上作成し、組織的に用いるため行政機関が保有しているもの」と規定される。だが、具体的な基準は曖昧で、公文書管理のガイドラインを基に各省庁が規則をつくり、担当者レベルで判断している。

 国有地が不当に格安で売却されたのではないか。新しい学部の設置に首相の意向や官僚の忖度(そんたく)が働いたのではないか。森友、加計問題ではそうした疑惑が指摘されたが、解明につながるはずの文書について関係省庁は「保存期間1年未満なので廃棄した」「行政文書でなく個人メモ」などとして説明を拒んだ。これでは政策決定が妥当だったかどうか、国民は検証できない。

 政府は公文書管理のガイドラインを年内に見直す方針で、各省庁に責任者を置くのもこの一環だ。見直しの方向は政府の有識者委員会で検討されており、行政文書の保存期間や、行政文書と個人メモの線引きをどうするかなども焦点となっている。

 あらためて確認しておきたいのは公文書管理法が目指すものである。同法の第1条には公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と明記されている。政策決定過程が後に検証できるよう政府、行政機関が記録を残すことが民主主義の前提であり、国民の「知る権利」を支えるものだ。

 公文書管理に詳しいNPO法人などからは、官僚に裁量を与えない方向での見直しを求める声がある。形式的には個人メモでも、部局内の共有フォルダーで保存されたり、メールで回覧されたりしていれば法的に行政文書と位置づけるのが妥当ではないか。

 国民の「知る権利」に資するよう、公文書管理を抜本的に見直すべきだ。逆行するような見直しとなれば、国民の政治不信は増すだけだろう。

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