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ぶっ飛びの新作 「ツイン・ピークス」

 来日した「ツイン・ピークス」主演の俳優カイル・マクラクラン

 熱心なファンというわけではないが、映画監督デビッド・リンチは昔から気になる存在だった。悪夢をフィルムに焼き付けたかのような「イレイザーヘッド」、恐ろしくも美しい「ブルーベルベット」。美意識に満ちた映像と、迷宮のような物語。筆者もそんなリンチ・マジックにかかった一人だ。

 この夏、放送界で話題になっているのが、そのリンチが再び製作総指揮を務めるドラマ「ツイン・ピークス」の新作だ。日本では1991年のWOWOW開局時に目玉番組として放送された同作は、海外ドラマブームの火付け役となり、熱狂的なファンを生み出してきた。

 四半世紀ぶりの新作は全18話で、やはりWOWOWが7月22日から放送。これは取材せねばなるまい。この機会に前作もちゃんと見ようと、大手レンタル店に向かうが、最寄りの店でも都心にある国内最大級の店でも、DVD第1巻はずっと貸し出し中。人気の根強さを感じさせた。

 あらすじを知っている人も多いと思う。カナダ国境に近い米国の田舎町ツイン・ピークスで、美少女ローラの遺体が見つかる。FBIから派遣されたクーパーの捜査が進むとともに、裏切りと偽りに満ちた町の真の姿が明らかになっていく。

 目玉番組の復活に、WOWOWも意気込んだ。2年以上の交渉を経て、米放送局から新作の独占放送権を獲得。担当プロデューサーは「視聴者を裏切りたくない気持ちは強かった」と力を込めた。主人公クーパーを演じるカイル・マクラクランも7月半ばに来日し、お祭り気分を盛り上げた。

 熱狂の理由は何か。ようやく入手したDVDを見始めて、その一端が少し分かった気がした。ミステリー、オカルトなど、さまざまな要素を持つ本作は、小さな町を舞台にした群像劇でもある。ローラの死をきっかけに、町の人間関係はバランスを失い、人々はそれぞれの思惑で奇妙な行動を取り始める。登場人物は善人なのか悪人なのかも分からず、底が知れないが、いずれも個性と魅力を発揮している。

 筆者は「ツイン・ピークス」を見て、近年の邦画では出色の出来だった「桐島、部活やめるってよ」を思い出した。ある人物の不在をきっかけに、既存の人間関係が壊れ始める物語だ。いろんな切り口で、皆があれやこれやと語りたがる。それも名作ならではだろう。

 肝心の新作はいったいどうなのか。残念ながら新米“ピーカー”(作品のファンを指す言葉)の筆者にはうまく説明できそうもない。だが、リンチならではのぶっ飛んだ作品であることは間違いないように思う。少なくともまた十数年は、あれこれ言いながら楽しめるのではないだろうか。

(川元康彦・共同通信記者)

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