文字

香川県と土庄町が植物工場整備 太陽光光源にレタスなど栽培

香川県などが実証研究の拠点として整備した植物工場=土庄町

香川県などの植物工場で今春試験栽培されたレタス(土庄町提供)

 太陽光を主な光源として使い、高付加価値の農作物を低コストで栽培する技術の開発を進めるための植物工場を、香川県と同県土庄町が町内に整備した。理化学研究所(理研)や静岡県と連携して取り組んでいる実証研究の拠点施設。植物工場の運営でネックになりがちな電力コストの軽減策や、農作物の栄養分を調節できる生育環境制御などの手法を探る。年内に本格稼働の予定。

 植物工場は、土庄町が所有している空き施設内に整備した平屋約330平方メートルで、今春完成した。地面に置いたパネルで集めた太陽光を特殊なファイバーケーブルで室内に取り込み、光合成に最適な量を照射して農作物の生育を促す。太陽光は施設のエネルギー源としても活用し、電力コストの抑制につなげる。理研の和田智之グループディレクター(光量子工学)らが考案したシステムを採用した。

 同じく連携相手の静岡県は、約30万通りの生育条件を試せる少量栽培の研究施設を8月上旬、同県内に開設予定。香川と静岡の施設が本格稼働した後は、特定の栄養分を高めたり、抑えたりするなど、農作物に狙い通りの特徴を持たせる最適な栽培パターンを静岡で見つけ、香川で大量生産の可能性を探る方向で両県が協議している。

 一般的な植物工場は土壌の代わりに養液を使い、温度や光といった生育環境を制御した室内で農作物を育てる。環境をコントロールすることで、腎臓病の患者向けにカリウムの含有量を減らした低カリウムレタスなどを栽培できる。季節や天候の影響を受けにくい上、栽培用の棚は立体的に置けるため、「安定した大量生産が可能」(宮原隆昌・土庄町副町長)という。

 ただ、全国に少なくとも350施設あるとされる植物工場の多くは採算性に課題を持つ。照明器具や空調などの電気代が膨らんでおり、理研の和田氏は「7割は赤字」と指摘する。

 このため、香川県などは、高付加価値の農作物を低コストで栽培する技術のニーズは高いと判断。機能性の高い県産食材の開発や販売促進に向け、2015年度から植物工場の整備に乗り出した。県の「健康・長寿の産業化・地域ブランド化推進事業」の最重点施策に位置付けており、当面、5年間実施。17年度末までには国の地方創生交付金と県費を計約3億円投じる。

 植物工場では今春、LED(発光ダイオード)による人工光を光源としたレタスの試験栽培を実施。11~12月に予定する本格稼働で人工光での栽培能力をチェックした後、来年度から太陽光によるシステムの運用を始め、人工光も併用しながら採算性を確かめるという。

 今月4日には県や土庄町のほか、香川大農学部、JA香川県、四国電力系シンクタンクの四国総合研究所などが加わった運営協議会(7機関・1個人)が発足。実用化を目指し、産学官で連携を強化する体制も整えた。

 県自治振興課の藤澤朝美課長補佐は「採算が取れる施設に育てば、同じ運用ノウハウを持つ植物工場の新規立地とそれに伴う県内経済への好影響が期待できる」と話している。

  健康・長寿の産業化・地域ブランド化推進事業 香川県が進めている地方創生事業。同県土庄町での植物工場整備のほか、生産量全国一のオリーブについて、情報通信技術(ICT)を活用した栽培技術の向上や、疲労改善といった観点での機能性評価などに取り組む。食と農を切り口に、47都道府県で1、2位という健康寿命の高さを維持しようとする静岡県や、同県に協力する理研との連携も特色としている。
My記事保存
カテゴリ:

【地方経済】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.