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通常国会閉幕 強引さ目立った巨大与党

 通常国会はきょう、会期末を迎え閉幕する。巨大与党の「数の力」で押し切る強引な運営ばかりが目に付き、最後はあぜんとするような幕切れだった。

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の審議では、政府の説明が揺れ動き、国民の不安や懸念の多くが払拭(ふっしょく)されずに積み残された。熟議には程遠く、与党は委員会採決を省略して本会議で可決、成立させる異例の「奇策」まで弄(ろう)した。

 「国会に丁寧に説明する」とした政府の言葉とは裏腹の決着である。加計学園(岡山市)問題での野党の追及を避けるため、一度は浮上した会期延長を見送って「逃げ切り」を図ったと言われても仕方なかろう。

 政府は閉会間際になって、加計問題を巡る文部科学省内の記録文書の存在をようやく認めた。これまで繰り返し、文書は存在しないとしてきながら、問題の幕引きを図るようなタイミングで調査結果を公表した。国会が閉じれば、国民の反発も沈静化すると踏んだのだとすれば、あまりに誠実さに欠けた対応だ。

 加計問題の核心は「総理の意向」で行政が不当にゆがめられたのか、どうかである。事実上の最終日の集中審議では、文科省と内閣府の説明が食い違い、文書の内容の真偽も判然としなかった。幕引きがかえって、真相解明に及び腰の印象を強める結果になったのではないか。

 疑惑はほかにも今国会で次々と噴き出したが、解明は進んでいない。

 南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)の日報問題は、現地の緊迫した状況と政府の説明の食い違いが指摘され、組織的隠蔽(いんぺい)も疑われた。稲田朋美防衛相は特別防衛監察による全容解明を約束したが、いまだに結果が公表されないままだ。

 国有地が不当に安く売却された疑いのある森友学園問題も、理事長の証人喚問は実現したが、交渉記録は廃棄したとする財務省側と学園側の主張は対立している。

 国会が閉幕しても、問題をうやむやにすることは許されない。政府は閉会中審査などに応じて説明責任をきちんと果たす必要がある。

 一方で、野党の力不足も目立った。疑惑に対して攻め手を欠き、「共謀罪」審議では成立を急ぐ与党の戦略を読み切れなかった。

 そのためか、安倍首相の答弁には野党への攻撃的な姿勢が目立ち、真摯さが国民に伝わらなかったのは極めて残念である。長々と自説を語り、時折挑発も交える。相手の批判を「印象操作だ」と決めつける。「安倍1強」だからこそ、異論にも丁寧に応じるのは当然であろう。

 与党が「強い首相」の意向を忖度(そんたく)するような「結論ありき」の国会運営を続ければ、政治不信は確実に増していく。国会の役割をいま一度、自覚してもらいたい。

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