文字

最終盤の国会 誠意見えない政府の対応

 今国会の会期末が18日に迫る中、与野党の攻防が激しさを増している。きのう参院では、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、野党が提出した法務委員長の解任決議案が否決された。

 与党は審議を再開し、今国会で成立させる方針だが、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設に関する問題も解明が進まないままだ。民進党は内閣不信任決議案提出も検討している。残り短い会期での熟議が望めない以上、延長してでも国民が納得いく審議をすべきだろう。

 これまでの論戦で看過できないのは、安倍晋三首相をはじめとする政府側の態度に、説明責任への誠意が見えないことである。議論はかみ合わず、国民の疑問や不安にも応えていない。「数の力」にまかせた国会対応だと言われても仕方なかろう。

 「共謀罪」法案では、国民の8割近くが政府の説明は十分だと思っていない、と世論調査に答えている。

 「内心の自由」を侵す可能性はないのか。本当にテロ対策として必要なのか。捜査機関の「暴走」で一般人のプライバシーが不当に侵害されたりしないのか。そうした数々の懸念を払拭(ふっしょく)するのは政府の責任だ。

 それなのに法務大臣は紋切り型の答弁を繰り返し、安倍首相はラジオ番組収録で「不安を広げるための議論を延々としている」と野党の質問を皮肉る始末である。大切なのは、丁寧に国民の理解を得ようとする努力だろう。

 獣医学部新設を巡っても、何もやましいことがないのなら、きちんと調査と説明を尽くせばよいではないか。しかし、「総理の意向」を示す文書などが次々と明るみになっても、政府は再調査を拒んでいる。

 安倍首相は「私の意向は入りようがない」と言う。一方で「岩盤規制」の突破を目指す国家戦略特区制度では、官庁が頑強に抵抗し、官邸主導で実現させようとすることも十分に理解できる。問題は、その手続きが公平、公正だったかどうかである。決定理由や経緯を詳細に明らかにすることこそ肝心だろう。

 この点で政府のこれまでの対応が、「不正を隠蔽(いんぺい)しているのでは」と勘ぐられるような、消極的な姿勢に終始しているのは極めて残念だ。

 安倍首相にも求めたい。強気の答弁で野党の追及を頭ごなしに否定したり、「印象操作だ」といきり立ったりする場面が目立つ。説明を求める国民に向けた真摯(しんし)な態度こそ必要ではないか。

 7月2日投開票の東京都議選への影響もにらみ、最終盤の国会は各党の思惑も絡んで波乱は必至だ。だが、「成立ありき」の拙速な法案審議や、国会閉幕が問題の「幕引き」と見られるようなことでは困る。可能な限りの審議を尽くすべきだ。

【社説】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.