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自転車推進法 強み生かし活用に弾みを

 自転車を利用しやすい環境の整備を目指す自転車活用推進法が今月、施行された。

 国内には7200万台の自転車があり、移動の際に使う割合は、欧米諸国と比べても高い水準にある。一方で、自転車専用レーンを設けるといった環境整備は欧米に遅れているとされる。2014年現在でレーンなどの整備済み道路は計約3千キロと、道路全体の1%にも満たない。

 自転車政策は従来、放置自転車といった負の問題への対策に追われていた面がある。推進法は自転車の利点を積極的に生かすのが狙いで、超党派の議員立法で国会に提出され、昨年末に成立した。

 法には、通行空間の整備や公共交通機関との連携、観光への活用など14項目が重点施策に掲げられ、国に施策の目標や財政措置を盛り込んだ推進計画の策定を義務付けた。

 地方自治体に対しても推進計画の策定に努めるよう求めている。岡山県は県南に平たんな地形が広がり、雨が少ないなど、自転車利用に適している。強みを生かすため、施行を機に改めて活用のあり方を考えたい。

 自転車利用が進めば、環境への影響を抑えられるだけでなく、道路の渋滞緩和や健康増進にも役立つ。バスや鉄道と適切に組み合わせれば過度に車に依存した生活スタイルからの脱却を図ることができる。こうしたメリットを生かし、交通手段としての役割を広げることが重要だ。

 岡山市は12年、「自転車先進都市おかやま実行戦略」を策定した。これに基づき、自転車レーンを設けたり、歩道の上にカラー舗装などで自転車の通る場所を区分するといった整備を市役所筋など約14キロで行い、さらに増やしていく。市中心部の35カ所の拠点で自由に貸し出し・返却ができるコミュニティーサイクル「ももちゃり」は、同様の仕組みを導入した全国87都市の中でトップクラスの利用を誇っている。

 自転車を使いやすくすれば、まちの回遊性が高まることになる。中心市街地をはじめとする地域の活性化にもつながっていくだろう。

 利用拡大に向けては万一の事故に備えて安心を高めることも大切だ。

 この10年で交通事故の総数が3割減ったのに対し、自転車対歩行者の事故は3割増加した。自転車が加害者となる事故では、高額賠償を命じる判決が相次いでいる。

 兵庫県は15年、自転車保険の加入を県民に義務付ける条例を都道府県で初めて施行した。香川県も昨夏、有識者の研究会を設け、今年2月には保険加入義務付けなどを盛り込んだ条例を制定するよう、知事に提言した。

 同県によると今年1月現在、都道府県レベルでは10都府県が同様の条例を制定済みという。自治体は交通ルールの教育や啓発に取り組むとともに、こうした制度面の議論も深めていく必要があろう。

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