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公文書管理 保存ルールを厳格化せよ

 南スーダンに派遣された国連平和維持活動(PKO)部隊の日報や、大阪市の学校法人「森友学園」への国有地払い下げを巡り、公文書管理の在り方が注目されている。

 公文書管理法の施行から、今月で6年が経過した。同法は国の公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけ、行政機関の意思決定に至る過程が検証できるよう公文書の作成や保存を求めている。しかし、一連の問題では法の「抜け道」が浮き彫りになった。

 PKOの日報は外部からの情報公開請求に対し、防衛省が「廃棄済み」を理由にいったん不開示とし、後に電子データで保管されていたことが判明した。情報公開請求が、国会で「駆け付け警護」の新任務を付与するかどうかが議論されていた時期であり、日報にあった「戦闘」などの表現を隠したかったのではないか、との疑いも指摘された。

 国有地の払い下げでは、8億円余りも値引きされるなどした取引の不透明さが問題視された。財務省は「政治家から不当な働き掛けはなかった」と主張するものの、取引をめぐる交渉・面談記録については「廃棄した」としており、裏付けとなる「証拠」を示せない状態だ。

 注目されるのは、問題の文書の保存期間がいずれも「1年未満」だったことである。

 公文書管理法は各省庁に対し、文書の保存期間やその後の取り扱いを「行政文書ファイル管理簿」に記載し、年1回、首相に報告することを義務付けている。各省庁は規則をつくり、重要度に応じて公文書ごとの保存期間を決めている。

 問題は、保存期間を「1年未満」とした場合は管理簿に記載する必要がなく、いつ廃棄してもよいことだ。省庁が都合の悪い公文書を恣意(しい)的に「1年未満」に分類し、情報公開請求された場合には「廃棄済み」として隠そうとしているのではないか。そうした疑念も拭えない。

 PKO関連文書の保存期間は規則では3年だが、日報は刻々と変わる現地の状況を記したものにもかかわらず、「1年未満」とされた。国有財産売却時の決裁文書の保存期間は30年だが、交渉記録は「1年未満」とされている。ただ、森友学園との交渉は途中で地中に大量のごみが見つかるという特殊な事例だった。

 いずれも途中経過を示す記録がなければ、行政の判断の妥当性を事後に検証することができない。そもそも「1年未満」で廃棄可能としたこと自体が問題ではないか。

 公文書管理に詳しいNPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京)は公文書管理法を改正し、保存期間「1年未満」を原則廃止にすることなどを国に求めている。民進党は廃棄の規制を強化する同法改正案を今国会に提出する方針という。公文書管理のルールの厳格化に向け、国会で議論を進めるべきだ。

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