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大阪へ万博誘致 カジノとの連動は疑問だ

 政府は2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致を閣議で了解した。近く博覧会国際事務局(BIE)に立候補を届け出る。

 テーマに「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げた。ロボットや人工知能(AI)といった日本が得意とする科学技術を駆使し、体験、交流型の催しを目指すという。

 25年万博の開催地は18年秋、BIE加盟国による投票で決められる。既にパリが立候補で先行し、ロシア国内にも動きがある。地球温暖化対策のパリ協定を念頭に環境などをテーマに掲げるパリは強力なライバルとみられ、これから本格化する招致レースは激化しそうだ。

 ただ、なぜいま日本で万博を開催するのか。およそ半世紀ぶり、2度目となる大阪が適地なのか。巨額の財源が必要なだけに、国民への丁寧な説明が欠かせまい。

 政府は開催意義について、「阪神大震災から30年後の関西の姿を示す」「前回の大阪万博と比較して新たな将来像を描く」などを挙げている。20年の東京五輪後に国内経済が失速しないよう、新たな景気刺激策として期待でき、大阪府や市にとっても、東京一極集中で沈滞する関西経済の浮揚を図る狙いがある。政府は試算で、経済効果を1兆9千億円と見込んでいる。

 そもそも構想は、日本維新の会を率いる大阪府の松井一郎知事や前大阪市長の橋下徹氏が3年前に打ち出したものだ。安倍政権は改憲勢力である維新の会の協力を期待して、誘致にゴーサインを出したとの見方もされている。

 だが開催に向けての課題は山積する。最も肝心なのは開催費用の確保だろう。

 会場には大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)が予定され、建設費だけで1250億円が見込まれている。これを国、大阪府・市、民間が3分の1ずつを負担する計画だ。

 しかし、本当に資金が調達できるかは不透明と言える。民間分は主要企業に寄付金を割り振る「奉加帳方式」も検討されているが、地元企業からは「見返りのない寄付は株主の目が厳しい」などと消極的な声が上がっている。

 東京五輪のように、会場建設費が膨らんでいけば、国民にツケが回る恐れがある。後々に混乱が生じないよう、しっかりとした財源計画を立てる必要があろう。

 大阪府や市が、万博会場の隣接地でカジノを含む統合型リゾート(IR)の先行開業を見込んでいることも大きな議論になりそうだ。

 果たして、人類の明るい未来を考える万博と、ギャンブル依存症の増加や治安悪化への懸念があるカジノが両立できるのか。カジノ解禁には反対が根強い中、万博との連動に国民の理解を得ることは難しいのではないか。

 万博という世界へのアピールが日本の将来に禍根を残しては元も子もない。そのことをしっかり肝に銘じたい。
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