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光となって―点字ブロックの半世紀(3)守る 街中の命綱 遮らないで

点字ブロックを避けて歩道に止められた自転車。視覚障害者の命綱を守る意識が社会に求められている=岡山市北区中山下

 都市部を中心に街の風景に溶け込んだ点字ブロック。視覚障害者の命綱でありながら、自転車やバイクなどが上に置かれて分断される問題も普及とともに顕著になってきた。

 「行く手を遮られ、動けなくなったことがある」と岡山県視覚障害者協会長の片岡美佐子さん(64)=倉敷市=は明かす。たとえブロック上でなくても、白杖(はくじょう)を左右に動かして歩くと障害物に当たることは少なくないという。

 点字ブロックを巡り、鳴門教育大の高原光恵准教授(特別支援教育)らが徳島県の視覚障害者約150人に行ったアンケートでは、約半数が利用すると回答。「役立つ場所」として、歩道や交差点、駅構内、バス停、建物の出入り口など幅広いスポットが挙げられた。一方で利用しない理由は、家族らと一緒などで「なくても移動できるから」を除けば、障害物があったりして「利用したくてもできないため」が目立った。

 「ブロックを整備しただけでは必ずしも視覚障害者の安心にはつながらない」と高原准教授。2005~07年の調査ながら、今も多かれ少なかれ各地で同様の状況にあるとみられる。

□   ■ 

 せっかく敷設された点字ブロックの機能をいかに守るか。発祥の地・岡山では関係者の取り組みが続いている。

 第1号が設置された岡山市の交差点に10年、記念の石碑を建てた市民有志を母体に、「点字ブロックを守る会」(約50人)が誕生。13年に「上に物を置かないで」と記したステッカーを作った。日本記念日協会が定めた「点字ブロックの日」(3月18日)に合わせた街頭啓発で毎年活用し、フェイスブックでつながった全国の賛同者らも含めるとこれまでに100万枚以上を配ってきたという。

 点字ブロックへの理解を求めるイメージソング「幸せの黄色い道」も制作し、CDを岡山県内の全小学校に贈った。

 活動が実を結んだのだろうか。「守る会」会長で、岡山県立岡山盲学校の元教頭竹内昌彦さん(72)=同市中区=は「岡山市ではブロック付近の障害物がここ数年で減ってきた」と話す。

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 「全国では点字ブロックを守るという発想はまだまだ浸透していない」。守る会の一員で、ステッカー作りを発案した平林金属(同市北区下中野)社長の平林実さん(55)は利用環境のさらなる改善を目指し、表情を引き締める。願いは「道路や建物の計画段階から、点字ブロックと付近の安全な空間を確保することが当たり前の社会になること」だという。

 守る会事務局長の谷口真吾さん(55)=同市東区=も思いは同じ。「世界でも、ブロック付近に障害物がないことが常識になってほしい」と理想を描く。

 点字ブロックのイメージソングは<あなたの思いやりを みんなに広げよう>と呼び掛ける。岡山で生まれ、視覚障害者らの光となってきた点字ブロックがさらに輝きを増していけるかは、社会一人一人の意識にかかっている。

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