文字

移住者受け入れ  地域の支え合い強めよう

 故郷をやむなく離れ、慣れない土地での不安な暮らしの中で、周囲から心ない言葉を浴びせられる。避難者のつらさはどれほどか。

 東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難していた中学1年の男子生徒が、小2の時からいじめを受けていたことが昨年、明らかになった。各地でも避難者いじめが相次いで報告されている。

 きょうで震災から6年。今なお、故郷に戻れない避難者は多い。岡山県内でもつらい思いをしている子どもたちがいるのではないか。いじめでなくても、避難先での生活が長期化し、疲れが出て学校に行きづらくなる子もいるという。避難先の学校は子どもたちの様子に目配りし、心のケアに努めてほしい。

 横浜のいじめでは、生徒は同級生から「(原発事故の)賠償金をもらっているんだろう」と言われていた。子どもたちの偏見はどこから生まれたのか、周囲の大人が省みなければならない。この国では誰もが被災者、避難者になる可能性があるということを、一人一人がまずはかみしめるべきだ。

 岡山県内には避難者が多い。復興庁の2月時点の集計で県内の避難者は1016人。近隣の広島県(359人)、大阪府(340人)と比べても突出し、西日本最多である。これは自治体窓口で申告した人の数であり、実際の避難者はさらに多いとみられる。

 岡山県が選ばれているのは、災害の少なさや原子力発電所から遠いといった理由に加え、震災後の早い段階から支援団体が次々に立ち上がったことがある。2014年にできた支援団体の連携組織「ほっと岡山」は昨年、一般社団法人になった。避難者の相談に応じるほか、支援情報を載せた便りの発行、避難者同士の交流会、託児支援など多様な事業を行っている。

 ただ、避難者をめぐる状況は厳しさを増すばかりだ。3月末で福島県が実施していた自主避難者への住宅支援が打ち切られる。避難先の自治体が行っていた公的補助も多くが縮小されてきた。

 「ほっと岡山」によれば、県内には母子避難者が多く、経済的な困窮や、年数がたつにつれて先の見えない不安を募らせる人も少なくない。精神的に不安定になるなど深刻な状況の人は、交流会などにも参加できないという。

 他県では、自治体が新たに住宅などの独自の支援策を打ち出したり、保健師が避難者を戸別訪問したりするといった取り組みがある。とりわけ避難者が多い岡山県である。官民が連携し、地域の中での支え合いを強めたい。避難者が暮らしやすい地域をつくることは、岡山県への移住・定住者を増やすという地方創生の視点からも極めて重要だ。

【社説】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.