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高梁市教委への寄贈本10年放置 1.6万冊、遺族要請を受け返還

高梁市内の藤森さんの実家で段ボールに入ったまま保管されている書籍

藤森賢一さん

 高梁市教委に2006年に贈られた「万葉集」や備中松山藩の儒学者山田方谷に関する郷土資料などの書籍約1万6千冊が10年間にわたり放置され、寄贈者の要請を受けて市教委が昨年3月に返還していたことが、山陽新聞社による市への情報公開請求で分かった。寄贈したのは高野山大(和歌山県)名誉教授だった故藤森賢一さん=同市出身=の遺族で「利用されず残念」としている。

 藤森さんは高梁高などで国語を教えた後、同大文学部教授を務めた。大学勤務の傍ら専門家を招いた国文学や医学などの無料講座を市内で開いた。05年に75歳で亡くなった後、遺族が「源氏物語」「チェーホフ全集」といった古典、国文学、外国文学のほか、絶版になった哲学や仏教の専門書など計1万6435冊を寄贈した。

 市教委によると、通常、蔵書登録した寄贈本はおおむね1カ月以内に貸し出す。藤森さんの書籍は当時、約7万冊を収蔵していた高梁中央図書館の蔵書として登録したが、スペース不足で西に約8キロ離れた旧成羽高体育館に保管。貸出時に取りに行く人員が割けないことなどから蔵書検索の対象から除外していたという。

 新図書館開館(2月)に伴う蔵書整理で、夏目漱石や内田百けんの全集、所蔵していない備中松山藩、山田方谷の関連資料などを除き大半の廃棄を決定。これを知った遺族が全ての返還を求め、現在は藤森さんの市内の実家に置いている。藤森さんの弟、日出雄さん(78)=大阪府枚方市=は「兄が心血を注ぎ集めた本ばかり。市民のために役立ててほしいと思ったが残念でならない」と話す。

 山陽学園大の菱川廣光特任教授(図書館学)は「寄贈本の取り扱いは図書館に一任されるのが原則だが、蔵書として受け入れた以上は速やかに利用者に公開するべきだ」と指摘。高梁市教委社会教育課は「職員数や書庫の制約で活用できず、遺族、利用者に申し訳ない。今後は寄贈本の取り扱い基準を明確化するなどして、きちんと対応したい」としている。
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