文字

地方議員の年金 “復活”に理解得られるか

 議員のなり手を増やすために老後の安心を保障して―。地方議会のそんな主張に、国民の賛同は得られるだろうか。全国の地方議会の半数以上に当たる900議会が、地方議員が厚生年金に加入できるよう国に法整備を求める意見書を可決している。

 意見書を可決したのは、1月時点で岡山、広島など29道県と、岡山など8政令指定都市を含めた871市区町村の議会である。全国都道府県議会議長会が昨年7月、「なり手不足が深刻化している」として、人材確保のために厚生年金加入を求める決議を採択し、市議会、町村議会の両全国議長会も組織内で同じように呼び掛け、全国的な動きに広がった。

 地方議員には2011年まで独自の年金制度があった。平成の合併で自治体数が減り、定数削減もあって掛け金を払う議員数が半減し、収支が悪化したことなどで廃止された。専業議員は現在、満額で月額約6万5千円の国民年金にしか加入できない。

 確かに地方議会の人材不足は懸念材料だ。15年の統一地方選では、定数を超える立候補がなく無投票で当選した人の割合は、道府県議と町村議でともに22%に達した。若い世代や女性が少ないといった偏りもある。

 ただ、厚生年金に加入できればなり手が増えるという理屈には疑問がある。執行部が出した議案のほとんどが原案通り可決されるなど、地方議会の追認機関化が指摘されて久しい。何をしているのか見えづらい議員も少なくない。責務をしっかり果たした上で、存在意義を国民に理解してもらうのが先ではないか。

 費用の問題も見過ごせない。厚生年金の保険料は、本人と雇う側が折半する。総務省の試算では、地方議員が加入した場合、自治体には新たに年間約200億円の公費負担が発生する。人口減少が進んで自治体の財政運営は困難さを増している。住民に公共サービス切り下げを求めざるを得ないところもあろう。

 議員年金が廃止に至った過程では、受給資格を得るまでの期間が12年と短く、兼業の厚生年金と併せて受け取れたことなどから「特権的」との批判があった。廃止後も受給資格者への給付は続いており、今後約50年間、1兆円超の公費支出が見込まれる。自治体にさらなる負担を強いる年金の“復活”を理解してもらうにしては、有権者への説明が不足していないか。

 地方議会では、政治とカネにまつわる不祥事が後を絶たない。昨年も富山市で13人が辞職するなど、政務活動費の不正使用問題が全国各地で相次いだ。公金を預かっているという意識の鈍さに対し、国民の視線は厳しさを増している。政活費の使途を透明化するなど襟を正す努力を十分尽くさないうちに、自らの処遇改善に励むような姿勢が目立てば、地方議会への不信感が募るばかりだろう。

【社説】の最新記事

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.