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たかがファインダー、されど… 「正統派」には今も必需品

ファインダーをのぞいて菜の花と高層ビル群を撮影=浜離宮恩賜庭園

背面にキラリと目立つファインダー。ボディが少しかさばっても、有難い存在だ

 寒い日が続いていますが、皆さん、いかがお過ごしですか? 先日、サラリーマン川柳が発表されましたが、寒くなると思い出すのが「この俺に、あたたかいのは便座だけ」という受賞句です。さて、カメラは寒暖差が苦手です。結露しないように撮影以外はカバンにいれてください。

 ところで先日、普段持ちカメラをファインダー付きに換えました。ファインダーが付くと大柄になるのですが、カバンの中身を整理することでスペースが確保できたのが理由です。先日上京した際、そのカメラで撮影しましたが、ファインダー付きはやっぱり良かったです。当日は快晴でしたので、液晶画面を見ながらの撮影スタイルはフラストレーションが溜まったことでしょう。ファインダー内の液晶も凄くなめらかな画質で、サクサク撮れました。

 しかし、撮影者全体から言えば、ファインダー派はマイノリティーです。いつから人はファインダーをのぞかなくなったのでしょう? 今世紀初頭にコンパクトデジタルカメラが登場しますが、当時はファインダーが付いていました。しかし、徐々にファインダー排除の動きが活発化します。なぜかというと、ポピュリズムが原因です。デジタルカメラが売れる理由は値段や画素数の多さが代表的ですが、液晶画面の大きさもかなり購買欲をかきたてる重要な要素なのです。

 撮った写真がすぐ見られるのがデジタルカメラのメリットですが、どうせ見るなら大きい方がうれしいに決まっています。画面が記念切手くらいのサイズだったのが、名刺くらいの大きさになっていきました。気の毒なことにサイズ競争の犠牲になったのがファインダーです。設計者はファインダー外しに抵抗したと思いますが、液晶画面が1ミリでも大きい方が売れる! のマーケティング圧力には屈しざるをえなかったと、考えるのが小生を含めた大方の見方です。

 カメラ・イコール・スマホになって久しいですが、最近はファインダー付きや後付けできる高級機が出てきました。わざわざカメラを買う人は、正統派を求める消費者が少なからずいるということでしょう。ファインダーをのぞいて撮る。当たり前の撮影術が見直されてきているのは間違いありません。

 どうでもいいことなのですが、気になるCMがあります。果汁入りアルコール飲料のCMです。出演者は市川紗椰さんと大沢たかおさん。缶を持つ彼に、彼女が「撮って良いですか?」と声を掛け撮影します。彼女のカメラは富士フイルム製のデジタルカメラ。そのカメラは液晶画面見る派が大多数の中、あえてファインダーを付けて出した意欲作なんです! しかし、彼女はファインダーをのぞくことはなく、液晶を見てシャッターを切るのです。あー残念!!

 彼女はモデルだけでなくニュースキャスターもする才媛です。また相撲や鉄道の知識人としても有名で、ポリシーを感じる素敵な女性です。そんな彼女だからこそポピュリズムに流されないファインダー付きカメラを用意したのだと思うのですが、撮影シーンを見るたびにつくづく惜しい!と思うのです。CM撮影に携わったスタッフも、ファインダー付きカメラを知らない世代だったのでしょう。CMのアルコール飲料は柑橘系の爽やかな味わいに対し、小生の心はスカッとしないのです。

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 蜂谷秀人(はちや ひでと)フリーランスカメラマン。ファジアーノ岡山オフィシャルカメラマン、日本写真家協会会員。1985年、日本大学芸術学部写真学科卒業後、山陽新聞社入社。編集局写真部を皮切りに夕刊編集部、家庭レジャー部記者を経て1995年に独立。1962年岡山市生まれ。

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